special stories

□愛の言葉はいらない
1ページ/1ページ

私はただ、彼が好きだった。
彼の評判があまり良いものではない、
そんなことも知っていた。
けれど、ただただ、彼の優しさに惚れてしまった。
だから、付き合うことになったときは
ただ、嬉しかった。
でも、彼の遊び癖に悩むようになった。
私だけに見せてほしいその笑顔を
女子に、しかもかわいらしい、
振り撒いていたり、
酷いときは、すごい至近距離で
楽しそうに話していたり。
それでも彼が好き。
一番驚くのは、そこ。
どうしても嫌いになれない。
例え彼の“好きな人”じゃなくても、
例え“形式的な彼女”でも、
彼のそばにいられるならそれで良かった。
でも、もう無理かもしれない。
彼が女の子を見つめる時の視線を
私だけに向けてほしかった。
すこしぐらい、“彼女”っていう
実感が欲しかった。
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ