『ソラアイ』

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「んっ……」
「あ、目が覚めた。陽奈……じゃないね、月奈」

保健室、いたのは藍と自分だけだった。

「……あんま月奈って呼ぶなよ、誰かに聞かれたらどうすんだ」
「誰もいないよ。で、どうして出てきたの? 陽奈は?」
「とても出ていられる様子じゃないから代わった」
「へぇ、二重人格って便利だね。私も嫌いな先生の時は変わってほしいよ」

藍は私が二重人格だと知る唯一の人だ。

「でも、何で陽奈はあんな風になったの?」
「なんか、城野が怖かったらしい」
「怖い?」
「あいつと目があってからおかしくなったから、それは確実だ」

私は別に変な感じはしなかったけどな。

「とにかく、あいつには会わない方がいいってことかもな。どうしても会わなきゃいけない時は……!」

その時、ノックの音が響く。

「荻野さん、大丈夫ですか?」
「花柚先生……」

入ってきたのは、数学担当の花柚宇宙。

「大丈夫です、ちょっと目眩がしただけなので」
「そうですか」

陽奈を演じる。学校はこれで通している。
再びノックの音が響く。

「花柚先生、荻野さんはどうですか?」

そこには、陽奈が倒れた原因の城野慧が立っていた。

「まだちょっと顔色が悪いですけど」
「そうですか。花柚先生、次授業でしょう。私が見ますので行ってください」
「分かりました。深月さん、行きましょう」
「え、でも……」
「さっきは仕方ありませんでしたが、次は無理ですよ」

確かに、これ以上藍が付き合う事はできないだろう。

「行って、私は大丈夫だから」
「……分かった」

納得していなさそうだったが、流石に残る理由が見つからなかったのだろう。花柚先生と出て行った。

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