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□○君と出会えて○
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陽加が人生で初めて電車に乗った。
お嬢様を立たせるわけにいかず、
陽加だけでも と座らせようとすると
「皆様が立っておられるのに私だけ座るだなんてできませんわ…!」
そう言って絶対に座ろうとしなかった。
陽加は本当に優しい。
窓ガラスに映る、並んで立ってる俺と陽加。
…本当に俺が不釣り合いすぎる…
「仁様、あれはなんですの…?」
俺にとっての日常も、陽加にとっては新鮮な非日常。
「あれはつり革だよ。転倒防止の手すりだよ。」
だから陽加といると一つ一つが新発見で、
この出会いに感謝する他なかった。