HUNTER×HANTER

□ツキアカリ
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眠れない静かすぎる夜。


月が明るいため、部屋の灯りは点けずに窓の縁に座り、本を手に取る。


分厚い本の頁を一枚、一枚めくっていると、後ろのドアが開いた。





「名無しさん?…眠れないのかい?」


その言葉に軽く頷き、本に目を戻す。




音の高い足音がゆっくりと近づいてくる。

少しだけ顔を上げると、反対の窓の縁に向かい合わせに座り、外を眺める横顔と目が合った。


ふと、口元が緩み、暖かく優しい笑みが浮かぶ。

いつもと違う笑顔。



「…名無しさん」



ゆっくりと近づく真剣な瞳。

大きな手に包まれた頬が、紅く染まっていくのが自分でもわかる。




「キス、していい…?」


優しく静かに囁かれた言葉。



「…するよ」


そう言って、触れた唇。



瞑っていた目を開け、顔を逸らすと、頬を包んでいた手が、頭の後ろにまわり、ゆっくりと抱き寄せられた。


あまい彼の匂いに包まれる。




「…眠れないなら、ボクが一緒に寝てあげるよ」


「…遠慮しとく」


「そう、相変わらずつれないね」


「……」


「ねぇ、名無しさん」


「なに…?」


「愛してるよ」




「…私も…」


唐突に言われた言葉に、言葉の後ろを濁し少し間を空けて答える。




「私も…なに?」



顎を掴まれ、顔を持ち上げられる。

いつもの意地悪な目が私を捉える。

ゆるりと唇がなぞられ、もう一度同じ言葉が繰り返される。


「私も?」


「……いして、る」


「ん?」


「…愛してる…」



濁しながらも、そう言うと、満足そうな笑みが浮かぶ。




ふわっと身体が離れ、頭を撫でられる。


「ヒソカ…?」


「今日は我慢しとくよ♡おやすみ、名無しさん」




そう言って、ひらひらと手を降り、ヒソカは部屋を出て行った。
 

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