HUNTER×HANTER
□Battle‼
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冷んやりとした、つめたい刃先が頬をかする。
(まずい…っ)
いつもならなんでもない相手、でも今日は…
昨日の仕事で負傷した右手と左足首。
念も武器も上手く使いこなせない。
一旦、距離を置き木の影に隠れ、頬を伝う血を拭う。
(引くか?戦うか?)
近づく足音と殺気、後ろに回り込もうと一歩踏み出した時、左足首に激痛が走った。
溢れ出す血と、強すぎる痛みにその場に座り込むと、首筋に冷んやりとした刃先が当たった。
(…殺られる)
仕事柄、死と隣り合わせなことはわかっている。
が、これほど強くこのことを思い知らされたのは今日が初めてだ。
…こんなに怖いなんて。
覚悟を決めぎゅっと目を瞑る。
しかし、当てられた刃先には動く気配もなく、殺気も消えている。
(…殺ら、ない?)
「はい、そこまで♤」
聞き慣れた声に目を開けると、ナイフを持った腕を鷲掴むヒソカの姿。
「逃げなよ、…後はボクがやる♧」
いつもは乗らないその言葉に今日は甘え、その場を立ち去った。