ゾルディック
□no.10
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最上階に向かうエレベーター。
だんだんと小さくなる街の景色。
「ごめんね、イル兄…。付き合わせちゃって…」
「全然平気。名無しさん1人で行かせるなんて心配で出来ないしね」
「…でもさ、本当は1人で仕事できるようになんなきゃいけないのに…」
「まぁ、そうなんだけど…。んー、今回はそういうことじゃなくて…オレが心配してるだけだから」
「?」
「親父から名無しさんの仕事のこと聞いて、オレが着いてくって言ったの」
「そうなの?」
「うん、それに、人たくさんいるだろ?名無しさんそういうの苦手そうだし」
「…イル兄、ほんとありがと」
「…どーいたしまして」
「…イル兄大好き」
「…名無しさん、…暫くそういうの禁止」
「オレちょっと耐えられる自信ないから…」
何気なく言った自分の一言にはっとして、一気に顔が熱くなった。
顔を逸らすと、すぐにエレベーターが最上階へと到着した。