ゾルディック
□no.6
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「すみません」
会場の一角にあるバーのカウンター席に座り本を読む男に声をかける。
振り返った男に緩く微笑んでハンカチをみせた。
「これ、落としましたよ」
『あっ、ありがとうございます』
「読書お好きなんですか?」
『えっ、』
「とても集中されてるようでしたので」
『ああっ、はい、好きなんですよ』
私も好きだと便乗し、なけなしの知識で会話を弾ませる。
そして、静かなところでもっと話がしたいと伝え、会場を出た。
全くといっていいほどない警戒心。
案外、真面目な人のがさらっと心を許すのかもしれない…
そう思いながら会場の外へと出て、自分の部屋へと案内する。
流石にそこには少し抵抗をみせた。
『部屋にまでお邪魔していいんでしょうか…?』
「?ええ、勿論ですよ?」
なにをするか、そんなことは考えてない様子をみせ、そわそわする男をさらっと受け流した。
エレベーターに乗り地上一階へ。
1番左端の部屋の扉を開けた。