*桃色ノ夢
□マシュマロ
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私は普通の会社員
実は今の仕事があまり好きではなくてストレスが溜まっていた。
久々に早く仕事が終わって、午後5時半。
たくさんの人が歩いている中を、私も同じように歩いた
とにかく早く帰って寝たい
そんなことを考えていると白くてフワフワな髪の子がしゃがんでいるのが見えた
ちょっと気になって、覗きこむように見てみると
白い髪の子のしゃがんでる方向に小さな女の子がいるのが見える
その子は泣いているように見えて、気になって声をかけてみた。
「すいません、どうかしたんですか…?」
普通なら声なんてかけないと思うけど
こういうときに私は声をかけてしまう。
必要以上に心配する癖のせいでストレスがたまるのだろうか
声をかけると白い髪の子がゆっくりと振り向いく
男の子か女の子かわからない見た目だけど、すごく可愛い顔立ちで
赤いピンでとめた前髪の隙間から見えるくりくりの目と、目があった
「この子、迷子みたいなんです~」
「そっ、そうなんですか?」
「ままぁ……ひっ……」
「大丈夫だよ
お姉さんに任せて!
絶対ママに会えるから」
泣いている女の子の頭をそっと撫でて、落ち着かせる
「じゃ、ママ探しにいこっか!」
「うん……」
女の子の手をとって、立ち上がった瞬間
さっきまで近くにいたはずの白い髪の子の声が遠くから聞こえた
「見つかりましたよ、ままさん~~!!」
白い髪の子の隣には、その子のお母さんと思われる女の人が立っていた。
その後女の子は無事お母さんの元に帰ることができて、私も一安心。
「ありがとうございましたぁ~
女のコ泣いてばっかで、どうすればいいかわかんなかったです…。
そういえば、名前なんです?」
「あっ、えっと…名無しさんだよ
あなたは?」
「僕は、鈴屋什造です~
喰種捜査官なんですよ」
どうやら、男の子みたいだ
それに、何歳か年下に見える。
その上喰種捜査官なんていうからびっくりしてしまった。
人は見かけによらないってこの事だろうか…
悪い意味ではなくて、さ。
「お礼に、ドーナツあげます!」
そういうと、鈴屋さんはドーナッツマイスターの袋を差し出してきた
「ありがとう!
それじゃ、ばいばい」
手を降ってその場を後にしようとした瞬間、腕を掴まれた
「名無しさんさん、
なんだか疲れてるみたいです」
「へ…?」
「人のことばっかり心配してないで
自分の心配も少しはするですよ?」
この子はどうしてこんなに鋭いんだろう
可愛いだけではなさそう。
それでも、鈴屋さんと話してると心がフワフワ浮かぶみたいに
気持ちが落ち着く
「じゃ、篠原さんが探してると思うので
僕はそろそろ行きますね~!!
名無しさんさん、また明日!です」
「あ、うん
また……」
私が相槌を打つ暇も与えず、言いたいことをさっさと言ったあと
走って帰って行ってしまった
また明日、鈴屋さんに会いたい
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