*桃色ノ夢
□花束
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「ふぅ~…」
なんとか資料をまとめることができたのは
午後8時半。
これでやっと帰れる…
急いでカバンの用意をしてると、
捜査が終わったのか滝澤くんが近づいてきた。
「名無しさん!」
「滝澤くんお疲れさま!
なぁに?」
滝澤くんはしばし時間をおいてから
「お前今日誕生日だろ?
時間がなくてこんなものしか買えなかったけど……」
そう言って手渡してきたのは
可愛いネックレス。
「覚えててくれたの!?
ありがとう!!大事にするね!」
「お、おう!
じゃ!また明日」
急ぎ足で帰っていく滝澤くん。
急ぎ事でもあるのかな?
カバンの用意を済ませて
局から出ようとすると、後ろから呼び止める声が聞こえてきた
「名無しさん~!待ってください!」
「鈴屋くん?
どうしたの、息を切らして」
「…さっき…
せーどーに何かもらってませんでしたか?」
「うん!
…どしたの?」
鈴屋くんはいかにも不服そうな顔。
「何でもない日に名無しさんに
贈り物なんて…
せーどーはズルい奴です」
「…えっと…
何でもない日って訳じゃない…から
滝澤くんはズルい奴じゃないよ!」
さっきプレゼントもらったばっかりで
ズルい奴なんて言われてる滝澤くんをかばった。
それがさらに気に入らないのか
彼はほっぺを膨らませて。
今日の鈴屋くんは機嫌が悪いみたい
「何で名無しさんが
せーどーをかばうですか」
「えっ、えっと……?」
「おっ、名無しさん。
誕生日おめでとう!
…?……君たちどうしたの?
空気が最悪だけど…」
「あっ!ありがとうございます」
局に帰ってきたばかりの
篠原さんに声をかけられた。
ふと、鈴屋くんの方を見ると
はっとした表情で外に走っていった。
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