―2nd―

□背徳とジレンマ。
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俺の勝手な予想だが、きっとジョジョはスージーのことが好きだ。
彼女を見るジョジョの目は恋心を抱いているように見える。
確かにスージーはルックスも良いし、修行中の身としては癒しだと思う。
一方、彼女もジョジョの事が気になっているのだろう。
俺には分かる。
 だからこの思いを閉じ込めておくことにする。
気付いてしまった自分の気持ちを。
ジョジョに対するこの感情を。
二人の幸せの為に演じるのだ。
邪魔なんてしたくない。
増してや壊すなんてこと出来るはずもなかった。
『ねえジョジョ、貴方のことが好きなの。付き合いましょう?』
 偶然聞いてしまったこの会話は、俺を酷く抉った。
嬉しいはずだったのにいざとなるとショックは大きかった。
 勿論ジョジョの答えはオーケー。
やはり俺の考えは間違ってはいなかった。
俺は素直に喜べているだろうか。
祝福できているのだろうか。
自分の気持ちに整理をつけることができず俺は部屋で一人で泣いた。
自分が思い通りにいかなかった恋愛はきっとこれが最初で最後だ。
バレないように声を押し殺して思いを流そうとした。



―――――――・・・



 ジョジョが俺にスージーと付き合ったことを報告してきた。
良かったなと言った俺は上手く笑えていただろうか。
声は震えてなかっただろうか。



―――――――・・・



 まだジョジョのことを引きずっている。
はやく忘れなくてはならないのに。
目の前にいるお嬢さんは心配そうに俺を見ている。
俺は何をしているんだろう。



―――――――・・・



 隣のジョジョの部屋からは幸せそうな二人の笑い声が聞こえる。
思ったよりも未練が残る自分に正直驚いた。



―――――――・・・



ワムウは強かった。
侮っていた。
やはり敵わない。
一瞬の油断が自身を死に追いやった。
正面から喰らった神砂嵐は俺の皮膚を切り刻み、肉を抉り、骨を断った。
死を悟った俺はせめて最後にと血で練った波紋入りのシャボンをプレゼントすることにした。
自分でも重すぎて笑ってしまった。
朦朧とする頭の中ではアイツのことでいっぱいだった。
またもう一度だけアイツの声を聞きたい、そう思った俺は我侭だろうか?
意識が遠のく。
激痛が走る全身に、聞きたかったアイツの叫びが響いた。








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