短編

□白雪姫
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白雪姫「おーっほっほっほ!鏡よ鏡!魔法の鏡!この世界で1番美しくて可憐ではかなげで思わずギュッて抱きしめたくなった後に押し倒したくなるほど魅力的で誰からも愛されるのは、だぁれ?」

鏡「はい、白雪姫。それはこの国の女王であり、あなた様の母親でもあるアンヌ様でございます」

白雪姫「…。カラスが鳴いたから聞こえなかったわ。仕方ない。もう一度聞き直さないといけないわね!鏡よ鏡、魔法の鏡!この世界で1番美しくて可憐ではかなげで思わずギュッて抱きしめたくなった後に押し倒したくなるほど魅力的で誰からも愛されるのは…だぁれ?」

鏡「はい、白雪姫。それはこの国の女王であり、あなた様の母親でもあるアンヌ様でございます」

白雪姫「あ、耳鳴りが。ってあーあ、また聞きそびれてしまったわ。鏡。この世界でいろいろ合わせて1番の女は誰?」

鏡「アンヌ様」

白雪姫「っきいいいぃぃぃぃ!!」

鏡「落ち着いてください白雪姫。血管切れますよ」

白雪姫「これが落ち着いていられるか!こら鏡!なんで私よりお母様を1番だと言う?確かに私を生んだのだから、それなりに美人なのは認めるわ。だけどね、この私が18歳をむかえた今、1番美しいのはこの私!可憐なのもこの私!はかなげなのもこの私!思わずギュッて抱きしめたくなった後に押し倒したくなるほど魅力的で誰からも愛されるのもこの私のはずでしょう!!

鏡「いえアンヌ様です」

白雪姫「まだ言うか!!…コホン。まぁ、確かに?世の中の考え方というのは十人十色。誰かが『あの人カッコイイー!』と言っても、その友達は『ぇえ?フツーじゃん?』となりますわ。だけどね鏡。この私と、その母親よ?ピチピチスベスベプルプルウルウルのこの私と、シミ・シワ・タルミの三拍子揃ったババアよ!?あんたの枯れ専趣味で決める問題じゃないの!きちんと全世界の魂からの叫びを反映なさい。ほら、答えは!?」

鏡「アンヌ様です」

白雪姫「割られたいの?あらそう、ドMなの!?」

鏡「いえノーマルです。でもアンヌ様になら踏まれたって構わないです」

白雪姫「あんたバカじゃないの!?いったい、私のどこが母様に劣るというのよ!!」

鏡「全てにおいて4番目です」

白雪姫「はぁ!?なんで私が4番目なのよ!?てか全てにおいて!?」

鏡「はい」

白雪姫「理由!理由を述べなさい!!何故私が4番目なの!!」

鏡「それは、1番がアンヌ様。2番がアンヌ様のお姉様であるローズ様。そして3番目がアンヌ様とローズ様の母親であり、あなた様のお婆様でいらっしゃるマリア様だからです」

白雪姫「っっはああああぁぁぁぁ!?!?!?待ちなさい!3番目!本っっ気のババアじゃない!!クソのついたババアじゃないっ!!」

鏡「いえ。世界第3位の美貌エトセトラを持つ女性です」

白雪姫「何でなんでナンデよおおぉぉっ!!」

鏡「現実だからです」

白雪姫「鏡!私が納得する理由を説明なさい!私が4番目の理由を!!」

鏡「はい。そもそもアンヌ様の一族は絶世の美男美女揃いでした。しかも魔法の山の奥深くの一族であったが為によそ者の血が入る事なく美しい遺伝子のみが受け継がれ続けたのです。しかしあなた様の父親である国王がその村に迷い込み、一族の中で一番美しいアンヌ様に一目惚れをして求婚し、受理されたが為に、美しい遺伝子によそ者の遺伝子が半分交わり、あなた様が生まれてしまったのです」

白雪姫「な…んですって!?じゃあ、私が1番じゃないのは、全部お父様のせいだと!?」

鏡「ぶっちゃけそうなります」

白雪姫「そんな…ゆ…許せないっ!!」

鏡「どうされますか?」

白雪姫「そうね…私の中から父様の遺伝子をなくせば私が1番になれるはず。…検索なさい魔法の鏡!どうすれば私の中のお父様の遺伝子を消せるのか!!」

鏡「えーっと…あ、ありましたよ白雪姫。検索結果によりますと、国王陛下の血を全て抜き取ればいいそうです」

白雪姫「なるほどわかりましたわ!!今すぐ狩人を呼びなさい!狩人に国王を暗殺させるわよ!!」

鏡「あ、ちがいますよ。白雪姫の中の国王陛下の」

白雪姫「狩人に父様の血を全て抜き取らせて…そうだわ、ちゃんと抜き取れたかどうか確認する為にも血を持って帰るよう言わなくちゃ」

鏡「そんな事しても意味は」

白雪姫「狩人ー、かぁーりうどぉー!」

狩人「お呼びでしょうか白雪姫!」

白雪姫「かくかくしかじかよ。いってらっしゃい」

狩人「は!」

鏡「だーめですよー、白雪姫ー。話すっとばしちゃ」

白雪姫「何を言っているの!楽しみにしてたテレビを録画して見る時は、CMは飛ばして見るでしょ?それと同じよ」

鏡「あー、自分、CMも楽しむヒトなんでー」

白雪姫「あらそう。…ふふ、ふふふ」

鏡「…白雪姫?」

白雪姫「とうとう私が世界一になる時が来ましたわ!!おーっほっほっほ!!」

鏡「…まったく、困ったお姫様だなぁ」


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