サイドストーリー

□愛しい君と夢の中
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上体を起こしているコウェルズからはサリアの髪ばかりが視界に入るが、ちらりちらりと垣間見える赤い舌先は最初はたどたどしく、次第に大胆に舌全体を使い始めた。

はぁ、とサリアの熱い吐息が性器全体を包み込むようにかかり、痛いほどにさらに強く反り勃って。

やめさせなければ。そう思う気持ちなどとうに無くなっていた。

サリアの癖のある焦げ茶の髪に愛おしむように指先を這わせれば、ビクビクと身体を跳ねさせる。

姿勢を低くしていた姿からわずかに腰を浮かせてもじもじと動くから、ショールが覆いきれない形の良い小ぶりのお尻が丸見えとなった。

サリアはそのことに気付いていないのか、コウェルズに頭を撫でられる度に艶かしいダンスを踊るように身動ぎ続けていた。

性器が感じる舌使いと、視覚が感じる淫靡な身動ぎと。

サリアは目の前の性器に慣れてきたのか、今までは陰茎を舐めるだけだったというのに少し頭をずらして移動し、先端をそっと口に含んだ。

とたんに先ほどとはまた違う快感が全身に駆け上り、思わずサリアの肩を掴んで離してしまって。

「ぁ−−」

先端から溢れていた蜜がサリアの唇と離れたくないと伝えるように糸を引き、名残惜しむように顎にかかった。

「…サリア…」

やめろとも続けてくれとも言えないまま、熱を帯びた眼差しと声で名前だけを呼んでしまう。

サリアは恥ずかしそうに顎にかかった蜜を指先で拭い、顔色を伺うように上目遣いで見上げてきて。

そんな姿を見せられて止められるはずがなかった。

今までどれだけ我慢し続けていたか。サリアが思う以上に自分を律してきたのだ。サリアの方からコウェルズを求めてきたこの状況下で本能を押さえられるはずがない。

引き寄せるように隣に押し倒して、驚くサリアの唇に食らいつくように口付けて。

「ん、ぅ」

サリアの声にならない吐息ごと手に入れるように、両肩を掴んだまま口内に舌を押し入らせた。

先ほどまで淫らに性器を咥えていたというのに、コウェルズの強すぎる口付けに怯えるように身を引かせる。そんな反応すら劣情をそそるだけだとは気付かないのだろう。

「ンンッ」

舌を絡めとり、吸い上げ、唇を舐めて、甘噛みをして。

嚥下しきれない唾液が溢れることも許さないとでも告げるように唇を密着させてさらに口内を堪能し続ければ、コクリと喉が動く微かな振動が伝わった。

今まで軽く唇を合わす程度の口付けしかしてこなかったというのに激しく求められて、サリアの強く閉じた瞼から涙が少し滲む。

そんな姿も愛おしくて、長く堪能した唇を離し、コウェルズの腕の中に捕らえられたサリアを食い入るように見つめる。

強引すぎる動きにショールはサリアの身体から離れており、一糸纏わぬ姿に自制がさらに効かなくなる。

淡い色合いを基調としたベッドの上で、サリアの浅黒い肌だけがはっきりと見えるような気がした。

「あなた、さま…」

自分だけが裸でいることに今さら恥ずかしがるように、サリアは自分の腕で胸元を隠した。

その腕を押し退けて、手のひらに余裕で収まる小さな胸のささやかな柔らかさを堪能して。

「あっ……」

硬くなっていた乳首に舌を這わせれば、今までとは異なる上擦った甘い声が響き渡った。

サリアも自分の声に恥ずかしがって両手で自分の口を押さえていたが、胸を堪能し続けるコウェルズの肩に諦めたかのようにそっと手を置いて、淫らに浅くなった吐息を吐き出し続けていく。

左右両方の胸を味わってから、また口付けを交わす。今度はサリアも少しだが舌を動かしてくれて、それが愛おしくてまた深く味わって。

「サリア…」

身体を起こしてサリアの下半身に移動しようとしたコウェルズを、慌てた様子でサリアの手のひらが止めた。

「あなた様…なに、を…」

今さら何も知らない子供だとでも告げるような言い草に、少し笑ってしまう。

「怖がらなくても大丈夫だよ。…優しくするから」

頭を撫でてやって、2人が繋がるための大切な場所に再び下りようとして。

最初から挿入などするつもりはない。そこまで理性を止められないわけではないのだから。

サリアがつらくないように最初はきちんと慣らしてやらなければ。

しかしそう思うコウェルズを、サリアは弱い力で強く止めた。

「い、いけません…これ以上は…」

下だけは駄目だと、サリアは懸命に訴えてくる。

コウェルズを押し退けようとして、脚を閉じようと腰を動かして。

「…ここまで来てお預けは流石に酷くないかい?」

今さら怯えたのかとクスクスと笑えば、恥ずかしがりながらも拒絶の姿勢は崩さなかった。
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