サイドストーリー

□愛しい君と夢の中
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「…中に入りましょう?」

静かにサリアを待っていたから、ベッドの上に座ったままで。

一度ベッドから降り、布団をめくって2人で中に入る。

2人でも充分すぎるほどの広さのベッドで普段なら互いに気を使うように1人分の空間を開けていたが、今日はそっとサリアを自分の胸元へと抱き寄せた。

「あなた様…」

わずかに避難するような声に、離さないと腕の力で示して。

サリアの肌に直接触れる手から全身へと欲望が熱を持たせるように疼こうとするが、それでも今日は離したくなかった。

普段なら自制のためにわざとサリアから離れるが。

「…今日だけ。これ以上は何もしないと約束するから…」

本当は今すぐにでもどうにかしてしまいたい。しかし今ここで自分を戒めなければ、本当にサリアを失いかねないから。

コウェルズに突然引き寄せられて強張っていたサリアの身体も、やがて諦めるように普段の柔らかさが戻っていった。

その力の抜けた身体に、信頼されているのだからとさらに自制心を強くして。

−−それを選べるのはあなた様の方でしょう?

ふと脳裏に先ほどのサリアの言葉が浮かんで、サリアがそう口にした理由に唇を噛んで。

選べるのは確かにコウェルズの方なのだ。

大国の王子と、小国の王女。

それは、選べる者と選べない者の決定的な違い。

コウェルズは、いつでもサリアとの婚約を一方的に破棄できる立場にあるのだ。

もちろんそんなことをするつもりなどない。しかし、サリアの中には不安があるのだろう。コウェルズには前科があるのだから。

「…さっきはごめんね」

勝手をぶつけたお詫びをすれば、その返事だとでも言うかのように、サリアはコウェルズの胸に顔を埋めてくれた。


−−−−−


夢と現実が行き交うような不思議な心地良さの広がる微睡みの中で、コウェルズはいつもベッドの中で感じていた温もりとは違う心地良さにわずかに身動いだ。

そっと目を開ければ、太陽の明かりでも夜に灯る魔力の明かりでもない不思議な光に部屋中が満たされていることに気付く。

いったい何だというのだろうか。

被っていたはずの布団も消えていて、自室という概念の中にはいるのだが、ベッド以外すべてがおぼろげに霞んでいた。

思わず上半身を起こすと。

「−−あ、あなた、様…」

愛しい声が聞こえてきたのはすぐそばで、無意識のように声のした方へ目を向けたコウェルズは、目の前に広がる肢体に目を見開いた。

「サリア…どうして」

愛しい娘は白銀の糸で織られた淡い模様の広がる美しい薄手のショールを肩に掛けた以外は一糸纏わぬ姿でおり、自分の姿に羞恥を感じているようにショールと腕で身体を隠している。

浅黒い肌に淡い白のショールは清楚でありながら艶めかしく、恥ずかしがる表情がコウェルズの劣情を誘った。

「……どうしたんだい?そんな、格好で…」

目のやり場に困る姿だが、本能に従うように目が離せない。

「あの…私…」

サリアは戸惑うように何かを口にしようとしたが、彷徨わせていた視線がとある場所に訪れた時、言葉を無くしたかのように固まり、表情を先ほど以上に羞恥に染めた。

「なっ…いや、これは!!」

サリアが注目する場所は、衣服の上からでもはっきりと確認できるほどに硬く反り立ったコウェルズ自身で、サリアに見られてしまった事実に慌てながらも何とか隠すために身を動かそうとしたコウェルズの足に、サリアの手がそっと置かれた。

「さ、サリア…」

恥ずかしそうに瞳を潤ませながら、怯えるように唇を震わせながら。見上げてくるサリアは、コウェルズが思いもしなかった行動に出る。

「サリア!」

サリアの素肌に欲情した証であるそれに、小さな両の手が添えられる。

思わず止めようとサリアの肩を掴めば、まるで性感帯に触れられたかのようにサリアの身体がびくりと跳ねた。

「−−っ」

言葉を無くしたかのように跳ねて、しかし添えた両の手は離れない。そして。

「……あ、あなた様が…ずっと我慢してくださっていることくらい気付いています…だから…せめて…」

サリアの言う意味を理解できなかったのは、頭の中が白く染まってしまったからだ。

コウェルズの目の前で、サリアがその細い指先でたどたどしく衣服を脱がせ、反り勃った性器を露出させた。

血管の筋を浮かせて硬くなるそれに、怯えた指先がそっと添えられて。

「サ−−」

コウェルズの目の前で、姿勢を低くしたサリアが赤い舌を出し、恐る恐るといった様子で陰茎をほんの少しだけ舐めた。

とたんに甘い疼きが全身に駆け巡る。
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