princess

□姫制度
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成績は中の上
容姿端麗
すこし癖のある髪が風に靡きふわりと揺れる
「ここが今日から通う高校…か」
不安そうな顔で、しかし希望に満ちた顔で男は校舎を見た


「今日転校してきたアレルヤ・ハプティズムだ」
「よろしくお願いします」
教室で先生に紹介され頭を下げる
「そうだな、あの席に座ってくれ」
指差された所は窓際の後ろから二番目
素直にその席をめざすとひそひそと声が聞こえる
気にせず席につこうとすると
横の席には

おっ女の子!?
・・・ではないよね
ここ男子高校だしと心を落ち着ける
「君にあとではなしがある」
その子に声をかけられドキリとする。はっ話!?
なんだろ・・・来た瞬間トイレに呼び出しでもされるのかな・・・
声を振り絞り「はい・・・」
と返事をするしかなかった


しかし放課後連れて行かれたのは
「生徒会室・・・」
「会長が話しがあるそうだ」
そっそうか、僕に用があるのは会長なんだとほっとしたのもつかの間
言われたこととんでもない話だった






「姫、制度・・・ですか」

ぽかんと口を開けて生徒会長と呼ばれる男に問いかける
目の前の男はニコニコとその問いかけに答える
「そうなんだ、この高校には姫制度、というものがあってね
簡単に言うと姫に選ばれた子は女の子の格好をして、皆の士気を高めてもらうんだよ」
女の子の格好をして、
皆の士気を高める
復唱したあと「うぇ!?」と奇妙な声を上げる生徒に会長はふふふと含み笑いをする
「その姫に、君は選ばれたんだ」
光栄だと思ってくれ、と笑うが生徒は笑えない
「ぼっぼく・・・!!出来ません!」
「特典その一、姫の応援などで授業に出れないときには公欠扱い。」
「・・・」
「特典その二、一ヶ月に学食券が30枚支給」
「・・・!!!」
「特典その三、写真部の写真が売れればちょっとしたお小遣い」
「やります!!!」

会長は海老鯛だ・・・とひそかに思う

「アレルヤ、考えたほうがいいぞ。」
「刹那、君はいい加減あきらめたらどうだ?」
刹那はむっとした表情で言われた男の顔を見る
「お前はいいだろう、俺はこのままじゃ恥をさらすことになるんだ!」
必死の形相でティエリアにつかみかかるが物ともしない顔で返す
「お前のしたくない動機はお前にだけだ、支障が出るのは」
その言葉にぐっと言葉が詰まる刹那に会長が眉を下げて
「何があるんだい?」
刹那の代わりに口を出そうとしたティエリアの口に刹那の手で覆われる

「機密事項だっ」
顔を赤くして部屋を後にする刹那をティエリアは含んだ笑を口に帯びてみていた

「で・・・やってれるんだね?」
「はい、この学校アルバイト禁止なのでどうしようかと思ってたんです」
ほっとした様子でアレルヤは契約書なるものにサインをする
「それではティエリア、よろしく頼むよ」
「あぁ」

ティエリアとアレルヤは会長室を出る
「いまさらだがいいのか?」
「うん、僕学費免除できてるんだけど、アルバイトしないとご飯食べれないなぁーって
思ってたし。結果として・・・良かったのかな?」
ニコニコとするアレルヤにティエリアはどんな生活を送ってきたのか聞こうかと
思ったが、自分もひとの事を追求する立場ではないと思いとどまる
「でも僕なんかでいいのかな、その、刹那やティエリアみたいにかわいくないし・・・
女装って・・・似合わないと思うんだよ・・・」
刹那とティエリアは比較的身長は小さいほうだがアレルヤは違う。
程よく筋肉もついているし成長期真っ最中だ。
「身長は?」
「170だよ」
「体重は」
「・・・52かな?」
「大丈夫だろう」
筋肉のせいかガタイがよく見えるがそれは服でなんとかなるものだ。


「グラハム、連れてきたぞ」
二人が来たのは被服室。どうにも男子校には似つかわしくない部屋である
その中に戸惑いもせずにティエリアが入っていくのを見て
アレルヤも急いで後を追う
「待っていたよ、君が新しい姫だね?」
「アレルヤ・ハプティズムです。」
「私はグラハム・エーカー、君たちの衣装を担当する」
へぇー・・・服を作るなんてすごいなぁ、とアレルヤがぽかんと口を開くと
「そうそう、あと3ヵ月後らしいよ、彼が来るのは」
するとティエリアが面白そうに目を細める
「アレルヤ、お前は本当にいい時に転校してきたな」

その言葉が指す意味はアレルヤに伝わらなかったが
これからの学校生活に期待と不安を交えながら明日からどうなるのだろうと
考え込んだ



END

結構裏話では
グラハムは2年で、恋人のビリーが姫でした(ちなみにこのサイトグラビリ推奨)
自分の恋人に着せたい服を着せられて満足だったグラ公。
なんて裏話。

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