岩上さんと矢口くん

□24時間年中無休(1)
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眠い目をこすり
あくびをひとつ。

時間は深夜12時過ぎ。

遠くで車のエンジン音が
する以外には、自分の足音
しか聞こえない。

人通りのない歩道を
歩くこと約3分。

24Hの文字が暗闇にぼうっと
浮かび上がるのが見える。

それを確認すると
少し早足で目的地へ向かった。

ガラ空きの駐車場。

かろうじて駐輪スペースに
自転車が数台停まっていた。

なんでこんな時間に起きてんだよ。

たぶん俺と同じ理由で
ここに来てる奴はいない。


店内に入ると
外の月明りに慣れた目に
蛍光灯の光がまぶしい。

そして聞き慣れた声。

「いらっしゃいませ」

この時間ならではの
やる気もなけりゃ愛想もない声。

俺がなんでわざわざ
こんな時間にアラームセットして
用もないコンビニに来てるか。

それも毎日毎日
かれこれ一週間も。

くだらねぇ理由だよ。


矢口くんに会うため。


矢口くんっていうのは
このコンビニのバイトの子。

毎日この時間にレジ打ってる
目付き悪くて愛想のない店員。



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