青すぎる春
□始まりは屋上で
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耳障りなチャイムが鳴って
午後の始業を知らせる。
もちろん教室に帰る気なんか
さらさらない。
勝手に保健室にいることに
なるだけの話。
「…ねみぃ…」
4月の風はどうして
こうも眠気を誘うのか。
手に持っていたケータイを
学ランのポケットに入れ目を閉じる。
どうせ屋上に一人でいても
することもない。
教室の机にかけたカバンの中に
iPodを忘れたのを後悔。
昼寝でもしようと思い
再び起き上がって学ランを脱ぐ。
ついでワイシャツをズボンから
引っ張り出した。
だだっ広い屋上に自分一人。
空を仰ぎながら寝るなんて
ちっとも落ち着けなくて
背中丸めて猫の昼寝状態。
そしてそのまま
すとんと眠りに落ちた。