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□好きだから!
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今日はくどぅーと付き合い始めて半年の記念日

学校帰りにデートする予定だけど何か他に特別なことがしたくて、珍しく早起きしてお弁当を手作りしてきた。

包丁で指を切ったり油がはねて火傷したりで腕前は褒められたものじゃないけど、私なりに一生懸命作ったんだよ

それなのに…


お昼休みの時間

いつも一緒にお弁当を食べるフクちゃんと香音ちゃんに見送られて、私はちょっぴりドキドキしながらくどぅーの教室に向かう

学年が違うから教室が離れてて、私からくどぅーの教室に行くのは初めてかもしれない

緊張するなあ


くどぅーの教室の前

机に堂々と座ってる見るからにチャラい後ろ姿が目に入る


「くどぅー」

「ねえ工藤くん、ライン交換しよ!」

「あっ、うちもー!」


虚しくかき消される声


「おー、いいよ」


可愛い女の子たちに催促されて躊躇もなくスマホを取り出すくどぅー


ああ、もう

別にラインぐらいいいけど

いいけど…


「あれ?鞘師さん?」


聞き覚えのある声がする

後輩のあゆみちゃんだ


「あゆみちゃん…そうだ、これくどぅーに渡してもらえる?」


無理にへらっと笑顔を作ってあゆみちゃんに手作りお弁当を託す


「あー…あのバカ」


あゆみちゃんが眉を落として溜め息を吐くのが見ていられなくて


「ごめんね、お願い」


足早にその場を立ち去る


くどぅーはいつもあんな風に女の子と喋ってるのかな

皆に優しくしすぎだよ


下がりに下がったテンションのまま午後の授業を聞き流して、乾いた唇をリップで潤す

誰かさんのせいで心は全然潤わないけど


半分イライラしながら待ち合わせの場所に行こうと腰を上げると


「鞘師さん!」


息を切らしながら教室に入ってきたくどぅー

ここまで走ってきたらしい


「お弁当ありがとうございました、めちゃくちゃおいしかったっす!」


爽やかな笑顔を振りまいてるくどぅー

女子たちの視線が刺さる


「鞘師さんいつ来たんすか?俺、昼飯一緒に食べたかっ」

「もう行こ」


視線を振り払うように教室を出て下駄箱へ




「またかよー…」

声がして振り返るとくどぅーの手にはハートマークのシールなんかがついた封筒が3、4枚


なにその言い方。すっごいムカつく


「工藤くん」


背後から媚びてるような高い声


「手紙読んでくれた?話があるんだけど」


…嘘でしょ?またくどぅー目当ての女の子?


「あー、でも俺用事あって…」


なんで目配せしてくるの?てか用事なかったら行くわけ?

彼女の前なのに断ったりしないんだね

ほんともう、最悪


「いいよ行ってきなよ、くどぅーのバカ!」


私は悔しくて、泣いちゃいそうで

逃げるように走って学校を出る
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