しょうせつ
□【英】彼女の愛し方(死)
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「た、た…すけて、くれ…まだ死にたく…」
パァンッッッ!!!!
「ぎゃああああぁ!!!!!」
洗っても洗ってもとれない、血の匂い。
わたしの身体中にこびりつくのは、わたしが殺した人達のせめてもの無念なのかもしれない。
あのね、言っておくけど殺し屋なんて好きでしてるわけじゃないの。
でも生きるためにしなきゃいけないし、1度秘密を知ってしまったからには最後まで守らなきゃいけない。
もう何人手にかけたなんか忘れたわ。
5人?10人?100人?
こんなにも汚れてしまったわたしなのに、彼はわたしを抱きしめてこう言ってくれたの。
「名無しさん、愛してる」
ありがとう、アーサー。
わたしがその言葉にどれだけ救われたかなんてあなたには想像もできないでしょうけど。
でも、だめなの。
わたしはもう普通じゃない。
正しい人の愛し方なんてもう覚えていない。
わたしはあなたを殺したくない。
ここは、わたしが1番お気に入りの庭。
あのね、わたしだって女の子なの。最後ぐらいは可愛い色とりどりの花に囲まれていたいの。
引き金に指をかけて自分の頭の横へと銃身を固定する。
怖くなんかない。だってこうするしかない。
わたしはもう人の命を奪いすぎた。
人の愛し方も、もうそれ以外にわからないの。
わたしはあなたを殺したくない。
「ありがとう。私もよ、アーサー。大好き」