short

□小夜時雨
1ページ/1ページ



傘、持ってこればよかった…

そんなことを考えても、雨は止むはずがない
委員会が終わって、雑用を押し付けられた私は、時間も気にせずに黙々と作業を続けた結果
さっき終わって、外に出てみると外は真っ暗でおまけに雨まで降っていた
天気予報…見てなかったなぁ



「ねぇ、何してんの?」


声がする方を見ると…月島くんだ
思わず顔が赤くなった
そう、前から好意を寄せていたのだ


「さっきまで、委員会があって…」


「ふーん。」



…どうしよう
無言ほど辛いものはない


「月島くんは何してたの?」


「部活。」


そういえば、バレー部だったような…
月島くんがバレーしてるとこ、かっこいいんだろうな



「もしかしてさ、傘…ないの?」


「…はい」


「天気予報、雨マークあったよ?」



天気予報…見ておけばよかった
何故か、傘がないことが恥ずかしく思えてきた
すると、横からバサっと傘を開く音が聞こえた


月島くん、もう帰っちゃうのかな…
なかなかない2人だけの空間が、少し名残惜しい


「苗字さん、入りなよ」


傘で月島くんの顔は見えない

「え…?」


「…送ってくって言ってんの。早くしないと置いてくよ」



「あっ、はい!」


駆け寄ると、やっと月島くんの顔が見えた

あ…


「顔…真っ赤だよ?」


「〜っ、うるさい」


そっぽを向かれてしまった
でも、私の顔が緩むのが分かる


「ありがとう…」


返事は無かったけど、これからも月島くんを好きでいようと思った


耳から聞こえる、地面と傘を打つ雨の音を聴きながら…

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ