SWEET
□それは近くて、遠かった。 #01
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私はこの春、聖ブロッサム女学院に入学した。
ただ、大好きなお姉ちゃんと同じ高校に通いたかったから。
「麻里香ちゃん、だよね?」
人見知りで、クラスメイトと馴染めずにいた私に声をかけてくれたのは、隣の席の遥ちゃん。
「お互い呼び捨てにしよ^^」
遥の明るい声と笑顔が、私の緊張を一気に解いていった。
「うんっ、よろしくね♪」
すると、ふとクラスの子達の会話が耳に入った。
「ねぇ、明日桜咲の出待ちしない?」
「行きたい!」
「私ね、佐野先輩に憧れてブロッサムに入ったの♪」
「あたしは天王寺先輩が好き!」
「…桜咲学園目当ての子、やっぱり沢山いるんだね」
「あたし、中津先輩好きだよ♪」
遥はそう言って私の手を握った。
「明日さ、あたし達も行こうよ!出待ち!」
「え?でも私、好きな先輩とかいないし…」
お姉ちゃんに憧れて入っただけだから、さ。
「いいから!折角ブロッサム入ったんだし、行ってみよ♪」
そんなこんなで、明日の朝は少し早く家を出ることになった。
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