ネタ・短文

□仕事しろよお前
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『幽かな僕と確かな君』

*図書室の幽霊主人公(←ありがちとか言わないでわかってるからort)
*知らん間にハーレム築いちゃう死んでからリア充してる系幽霊
*全面的に無関心の脱力系男子だったから未練なんてないはずなのに図書室の自縛霊的なものになって生徒から教員、OBまでもを虜にする
*別にイケメンではない、でも漂ってる雰囲気が独特なので興味持たれやすい
*オチは…秘密(←べ、別にまだなにも考えてないわけじゃないんだからねっ!)



学校に七不思議やら怪談やらがあるのは、もう学校という存在が出来たと同時に生まれるものだからなのだろう
それはどんなに新しかろうが、小さかろうが、必ずあるものだ



そう、この学校にも、勿論、ある



「ねぇねぇ、図書室の御影君って知ってる?」

「知ってるよ!見たら呪われちゃうんでしょ?」

「え?そうなの?私は恋愛成就って聞いたけど…」

「違うよぉ!あのね、御影君に会ったらなんでも話を聞いてくれるの!」

「えー?それだけぇ?」

「そんなわけないでしょ!ちゃんと続きがあるの!話を聞いてくれて、そしたら影だけじゃなくて御影君の正体を見ることが出来るの」

「見た人いるの?」

「…それはひとまず置いといて!見たらね、魅入られちゃうんだって」

「なぁんだ…こっちに何もメリットないじゃん」

「でもね、問題は解決するんだよ。勉強も、部活も、恋愛も、進路も、なぁんでも」

「えー?話し聞いてもらうだけでぇ?」

「そういう噂だけどね」

「へぇ〜こっちに実害無いなら会ってみたいねぇ!」

「じゃあさ!このあと図書室行ってみない?」

「あはは!いいかもね!」



――――くだらねぇ



ここ最近どいつもコイツも「御影君」とやらの話をしている
しかも、自分の都合のいいように脚色し歪曲して噂が広がっていた
今の女子生徒のように完全に冷やかしのために図書室を訪れるバカ共が後を絶たない
ほとんどの生徒が冷やかし、そういうものを完全否定するヤツは鼻で笑い、その逆は近付くなと警告する



(アイツはそう簡単に拝めやしねぇよ)




しかし一部の人間、「真相」を知る人間こそが図書室を訪れ、馬鹿なヤツ等を鼻で笑い、近付かせないよう罠をはる


「おい」


ほぅら、今日も「罠」が先回り



「お前ら、図書室に行くのは構わんが今日は図書局の担当教員がいるからな」

「あっ…せ、先生、いや、あのぅ」

「やだぁ先生!本当に行くわけ無いじゃないですかぁ!ねっ?」

「そう、そうですよぉ!じゃあわたし達移動あるんでこれでー!」


バタバタと駆けて行く女生徒、その後姿を見て「罠」が「…ふん」とひとつ鼻を鳴らす


「ご苦労だなァ、白猟屋」

「ロー、先生をつけろ」

「アンタこそトラファルガーって呼べよ、贔屓がバレるぜ?」

「贔屓した覚えはねぇ」

「ククク…だろうな」


「おーい!トラ男ー!次移動だぞー!」

「麦わら屋?」

「…おい、まさかアイツも」

「そのまさか、だ。もうひとつオマケもいるがな」

「そのオマケってのはおれのことじゃねぇだろうなぁ?」

「へぇ、自分がよくわかってるじゃねぇかユースタス屋」

「あのなぁっ!!」


「廊下で騒ぐな、やかましい。スモーカー君、君がついていながら何事かね?」

「クロコダイル…」

「最近出た噂のせいで図書室がまるで遊技場だ、君も目を光らせておいてくれたまえよ」

「そりゃあアンタの同僚にも言ってやってほしいもんだ」

「フッフッフッ、珍しい組み合わせだなァ」

「チッ!君がいらない噂をするからいらねぇやつが来ちまったじゃねぇか」

「おれのせいにするな、大体コイツは一定の場所には現われねぇだろうが」

「フフフフッ!随分な言い草だなァ、同じ穴の狢だろう仲良くしようぜェ?」

「「「「断る」」」」

「フッフッフッフッフッ!!連れねぇなァ!!」




〜某時の図書室1〜



『…今日も騒がしいなァ』

「ここは静かだが?」

『ここはね、外が騒がしいんだ』

「まるで別の場所が見えているような物言いだ」

『僕の目は2つだけ、ここにあるだけだよ。僕よりも君のほうが別の場所を見ている気がしてるんだけどね、ホーキンス』

「おれは何も見えてやしない、敢えて言うならば占いの結果をいま見ているだけだ」

『そうか』



〜某時の図書室2〜



「…どこにいる」

『ここですよ、ミホーク先生』

「主は気配が無いから探すのに一苦労だ」

『気配を探れるんですか、凄いですね』

「…主を見つけられないのなら、まだまだだ」

『ふふ、本当なら気付くはずないものですから』

「そうだったな…」



〜某時の図書室3〜



「〜♪」

『ねぇアプー、ここに来ても暇なんじゃない?』

「んぁ?」

『いつも歌を歌ったり楽器を弾いたりしてるんでしょ?ここじゃあその逆のことをしなくちゃいけないじゃないか、窮屈じゃないの?』

「アッパッパー!…っと、まぁ確かにあんま黙ってるのは得意じゃねぇがな、音の無い空間ってぇのもたまにゃあいいもんだ」

『そういうものなの?』

「そういんもんだ」

『…そっちの保存庫の方に音楽系の雑誌があったよ、古いものだけどね』

「お!そーりゃ見なくちゃだなァ!!」

『しー』

「す、すまねぇ…」



〜某時の図書室・御影君の独白〜



『どうして僕はここにいるんだろうなァ…』


御影君などと本名とは似ても似つかない名前で呼ばれ始めてもうどのくらいたったのかな
それこそ、僕はいつからこの図書室にいるのかすら曖昧なまま
それ以上に曖昧なのは僕の存在そのもの
本当ならここにいるはずのない僕はいつの間にかここにいた、だからといって死んでしまったときの記憶もなくどこかを彷徨ったような覚えもない

それ以前の記憶も、ないけれど


『どうしてここなんだろう』


毎日暇潰しに本を読み漁ってはいるが特に強く興味を魅かれるような作品も、作者も、ジャンルもない
なのに僕はこの図書室という空間に縛り付けられたままだ
別に出られない訳じゃあない、けれどどこに行こうとも結局ここに戻ってきてしまう

それに…


『ここでしか僕は存在できないしなァ…』


僕の存在を知る人間は意外と少なくはない
生徒、教員、外部の人間、見学に来たまだこの学校とは関係のない生徒まで…
御影君としての存在でなく僕という存在を知る人間のお陰で退屈を凌げるようにはなったけれど、やはり場所が限定されてしまう
僕は学校内を徘徊することは出来ても図書室の外では僕を知る人間でも姿を見ることも声を聞くことも出来ない


『どうしてなのかなァ』


たくさんの「もしかして」を考えたけれどどれもピンと来ないし確かめる術もない
だからといって諦める気は起きない、今のところは、ね


「○○、いるか」


ほら、今日も暇潰しがやってきて僕の思考を霧散させてしまう
だから答えなんて出せるはずもない


『僕はここだよ』


今日も僕がなんなのかも、どうしてここでしか存在を認識してもらえないのかも、どういう法則性を持った人間が僕を認識できるのかも、いつになったら消えることが出来るのかも


なにひとつ、わからないまま…



END
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