祝☆1000HIT

□Believe me
1ページ/5ページ



それなりに栄えている島に着いた
海賊相手にも商売魂を燃やし、恐れる素振りもなく寧ろ歓迎してくるような島民達
花街も充実していて、ログが溜まるまで3日かかるときた


「ぃよっしゃーーーー!島ー!酒ー!女ー!!」


いの一番に駆け出すシャチ
アイツはこの島の情報をいち早く手に入れ何日も前から自分のフリー時間を増やすことに奔走していた


「シャチ、明日の朝10時までには帰って来い、リストの物資も忘れるなよ!あと一番いい女のいた娼館も教えろ!」


的確な指示を出すペンギン
前回の上陸時に運悪く予定満杯だったから溜まっているのだろう、少し興奮気味に見える


「いいなぁ…おれは3日間船に缶詰なのに〜」


船縁にあごを乗せて溜め息をつくベポ
短いログ期間に銜え不寝番と重なった災難なヤツ、あとで少しだけ買い物につき合わせてやろう

おれと、ベポと、アイツの3人で…


『悪ぃなイルカ、変わってもらっちまって』

「いいってことよ!その代わり土産忘れんなよ!」

『わかってらぁ、上等な酒買って来てやるよ』


…あ?


「あれ?リオも降りるの?今日甲板掃除とか衛生全般の係りじゃなかったっけ?」


そうだ、だからあとで買出しの名目でベポとおれと3人で上陸しようと…


『野暮用が出来たからイルカに変わってもらったんだよ、美味くてお高い酒と引き換えにな』

「え〜!?ずるい〜!!」

『市場で生肉買って来てやるからそう言うなよ、島で有名な菓子もつけるぞ』

「ホント!?絶対だからな!!」

『勿論だ。…ロー、そういうわけで俺も上陸な、じゃ』


思考停止して流れるような会話が理解できず、リオが颯爽と船を下りてもその場から動けずに唖然
意識が覚醒したのは甲板掃除をしにきたイルカ達に声を掛けられたとき、勿論リオの向かった方向すら確認できなかった
おれは弾かれたように船を飛び出して街中へ向かう

とにかくがむしゃらに走った

だってリオが言ったんだ


『2日目フリーだから一緒に街行かねぇか?久し振りにデートしようぜ』


昨日の終身間際、おれを優しく布団に寝かしつけて、額にキスして、まどろんだ意識の中で確かにそう約束したんだ
なのにまじめな性格のリオが当番の代わりを頼んでまでその野暮用とやらを済ませようとするなんて…一体何の用がある?

どこにいるんだ、何をしてる?
せわしなく視線をさまよわせてリオの姿を探す
アイツは背が高くてガタイも良いからすぐに見つかるはず…


「…っ、あ」


いた、見つけた…
色取り取りの綺麗な花が並ぶ花屋の前
惚れた欲目を取り除いても魅力的な恋人の姿



その横に、女の姿



「なん、で」



小柄で、華奢で、可憐な雰囲気

長い栗色の髪、白い肌、淡い桃色の頬と唇

世間で言う美女



なんで、その女といる?

なんで、お前はその女と笑いあってる?


なんで、手なんか繋いでやがる!!


街中だろうが、人前だろうが、腹の底から叫んでやりたかった
浮気なんかしてんじゃねぇ、そう言いたい
それなのに叫ぶどころか呼吸すら満足に出来ない
指の一本すら動いてくれない、立ってるのがやっとだ

その女がお前の言う野暮用か?

いつからその女と繋がってた?

そんな素振り全く無かったじゃねぇか


昨日だって朝起きておれのためにコーヒーを淹れてくれた
寝癖が酷いと言って直してくれた
朝飯だって重くないようにといつも通りおれに合わせたメニューを作ってくれた
昼にはベポに寄りかかって眠っていたおれに毛布をかけてくれてその横で本を読んでたな
目が覚めて暇だといったらハーモニカで故郷の曲だと言ってそれを奏でてくれた
夜は2人で酒を飲んだ
おれ好みのつまみを作ってくれて酒もおれの好みに合わせてくれた
お前は辛目の癖が強い酒が好きなのにおれに合わせて少し甘めの酒を用意して…

ベッドに入る直前まで指を絡めて、抱きしめられて、何度も口づけあって…

なのに、なんで…

お前の隣にいるのはおれじゃない?


あんなに愛してると言葉をくれて、言葉が無くても十分すぎるほどに愛情を感じていた

それも、全部嘘だったのか?

嘘じゃなくても、もうおれを愛してないってのか?


おれじゃなく、その女が…




おれの思考はここで途切れた




次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ