ハロウィン企画2015

□どちらがお好み?
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連れて来られたのは船長室、の、奥にある寝室
きちんと鍵をかけていくあたり冷静ではあるようだが頭ひとつ分の身長差故に涼介の表情は伺えない
おれは訳がわからないまま寝室に足を踏み入れた


「おい、いい加減にしろ…っ!?」

『Trick and Treat』

「はぁ?」


振り返り様に壁に体を押し付けられて涼介が聖職者の格好には到底似合いもしないしたり顔で密着してくる
からかわれたときと同じく顎を掬い取られ喉仏から鎖骨へ指先が滑る


『菓子は持ってないんだよなァ?能力使って取り出したものはノーカンだ』

「急になにをっ…離れろ!つーかさっきのはなんだ!andって言ったろ!!」

『そのままの意味だ、お菓子と悪戯両方いただくぜ』

「ふざけんな!!」

『海賊はほしい物は力尽くで奪う、そうだろう?』

「ふ、ぅ…ぁ」


囁くついでの様に舌先で外耳を滑る
鼓膜を揺するテノール、吐息、態とたてられた粘着質な水音
何度も体を重ねて開発され尽くしたおれの身体は涼介に触れられるだけで、些細な刺激でさえ火照りだす
わかっていながら尚も首筋をなぞる舌と腰を這う手を止めない涼介は本当に意地が悪い


「んゃ…めろ、ばかっ」

『菓子持ってないから悪戯してるだけだ、怨むなら菓子持ってない自分を怨むんだな』

「っ神父のくせして、悪魔みてぇなこといいやがるな…っふ!」


意地の悪い笑みを返してやれば壁についていた手が胸に這う
胸の飾りを捏ねられて息をつめた


『んー?じゃあ言い返せば?』

「んぁっ、は、なに…を」

『他の連中には言わなかったけどな』

「ぁあ!っくぅ…ん!」


おれの足の間に挟んでいた脚を股間に押し付けられダイレクトな刺激で下半身に熱が篭り始める
思わず揺らしてしまいそうな腰を壁に押しつけて何とかこらえた
それでも執拗に脚を押し付けられ上半身の愛撫も止まず寧ろ激化していく


『この呪文は使い方も様々だし同じことを言ったからって相殺も出来ねぇ』

「んンっ、じゃあ、はぁ…初めから、ぁ、おれに勝ち目がねぇ…ひ、あっ」

『あぁそうだな…だが、相手に同じ事をすることも可能だ』

「ひぅ、ゃあっ…も、わかんねぇ!っん、ちゃんと、言えよ!」


性急なものでない涼介の戯れのような愛撫はそれでも確実におれの欲を煽ってくる
思考がブレながらも答えを求めた


『お前も同じく返せって話…そしたら』

「あっ!?ひ、うぁああぁ!」


爪先立ちになるほど足を押し付けられ、胸の飾りを少し痛いくらいに噛まれれば一気に欲が膨れ上がり熱が競りあがった


「ふぅっ…あ、涼介…」

『あまぁいお菓子と、優しい悪戯をさせてやるよ』

「ん、ぁ…ふ、はぁ」


甘い言葉と吐息、それらを吹き込むように深く合わせられた唇と甘くとろけそうな舌
頂点を突っ切りそうな熱にもうおれの制御は利かない
いつからかおれの腰は淫靡に揺れ出し、身体を支えるのに必死だった両手は涼介の首に回り、引っ込めていた舌も飲み込まれてしまいそうなほど深く絡んでいた


『ほら子悪魔ちゃん、言って御覧なさい?』


性的な涙で歪む視界の向こう、メガネの奥に獰猛な獣のような瞳が見える


『美味しいお菓子と、優しい悪戯』




どちらがお好み?




なんて性悪な神父だ、そう罵ってやれば魅力的な悪魔の力にやられただけだと笑う涼介
もうなにを言っても無駄だと悟ったおれはメガネを外して一言、悪魔の言葉を口にした



「…Love and Treat」



わざとらしく舌舐めずりをしてやれば涼介も態と勿体ぶった様にメガネを外した


END
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