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□おめでとうとプレゼント
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『…』



明け方、ジープは目を覚ました

あの雰囲気のままもう一つ段階を昇ってしまおうかと考えたが、思いとどまった

ローはそこに少しの不安と不満を持ったが、散々甘やかされ愛されるという甘ったるい攻撃をされたので流されてしまったのだった

もう少し、もう少しの辛抱だと隣で眠るローの髪を撫でてベッドを抜け出す



「ん、ぅ」

『起きたのか?』



ローは身じろぐだけで答えず、また規則的な呼吸に戻っていった

それに安堵したジープはベッドサイドに短文のメモを置いて部屋を出た








―――――――







『んっ〜…はぁ』



甲板に出て大きく伸びをしてからタバコに火をつけた

果てのない海を見つめながらジープは考えを巡らせた



ローの、誕生日プレゼント



あれは、本当に渡してもいいものだろうか



気に入る気に入らないが問題ではなく、それを渡してローはどう思うのか



重いと、思われないだろうか





昨日までは、そう考えていた





しかし、






“おれもジープと同じ気持ちだって言ってんだよっ!!”






それがわかっただけで、こんなにも気持ちが軽い





『あーあ、悩み損、か』

「打開策でも見つかったのか?」

『ペンギン、あぁ、見張りか』

「もう交代してきた」



欠伸をしてからにやりと笑ったペンギンはもう一度“で、打開策は何だ?”と聞いてくる



『そんなものは無い』

「は?」

『普通に渡す事にした』

「え?」

『じゃあな』

「おい?」




タバコを海に投げ捨てたジープはすぐさま踵を返して船内へ戻ろうとする

船内へのドアを開けたところで振り返り、ペンギンは驚いた



ジープが、昨日とは違った意味で幸せそうで、面白そうな表情をしていたから




『ローと約束したんだ、あまり他のヤツと2人きりにならないって』

「…もしなったら?」

『フッ…バラされて海に撒かれるだろうな』

「え、それってどっちが…」

『さぁな』



恐ろしい言葉と顔を真っ青に染めるペンギンをその場に残し、ジープはローの眠る船長室へ帰っていった




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