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□おめでとうとプレゼント
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ボトルの半分ほどを飲み終えたころ、ジープはふと思った事を聞いてみた
『なぁ』
「なんだ?」
『…ローにとって、俺は何だ?』
「っこいびと、だろ」
酒のせいではない赤みを頬に浮かべるロー
耳まで真っ赤にしている辺り、恋人という響きがよほど恥ずかしいのだろう
『いや、そうじゃない、何と言ったらいいか…』
うんうん唸って考えるジープと、それを首を傾げてみるロー
まとまらない言葉で何とか説明しようとするがなかなか上手くいかない
『あー…と、あれだ、俺の事をどう思ってるかじゃなくて…恋人としてどういう存在かってこと、が、聞きたい』
「な、んだ、急に」
『1ヶ月前に言ったが、俺は恋愛なんかした事がなかったから…正直、愛とか恋とかはよくわからない』
最近一番思い悩んでいた自分の恋心への疑心
憧れの行き過ぎた思いなのかと思ったりもした
『でも、ローはとにかく愛しい…』
「っな…!?」
『大切で、愛しくて…それで、こんなにも温かな気持ちになる』
さっきよりも赤くなるローののことなどお構いなしに言葉を連ねていく
『俺にとって、ローはそういう存在だ…だから、ローもそういう気持ちを持ってくれてるのか、それが聞きたい』
「い、言えるかっ!」
『…そうか』
ジープは全力否定された事によりどんよりとした空気に押しつぶされた
その反応を見てローはしまったと焦る
折角ジープがあんなにも素直に気持ちを発してくれたのに、と
しかし、自分の欲望に素直な分、可笑しな所で遠慮してしまうのがローだ
心を曝け出すのが苦手なのでどうやって伝えようか、そればかりが頭をぐるぐると回り焦る一方だ
「ぁ、…」
『ん?』
「っ…ぉれも、おなじだ」
『え…』
「だ、だからっ!おれもジープと同じ気持ちだって言ってんだよ!!」
結果、焦りすぎて逆ギレた
『………っは、はは』
「笑うなっ!!」
『だって、クククッ…そんなに顔真っ赤にしてキレられても、ははは』
「〜〜〜っ!!!!」
『ははは…っいて!』
とうとう顔や耳だけに飽き足らず、首や指の先まで真っ赤に染まったローは言葉も出なくなりジープの胸に頭突きをかました
そのまま胸元にぐりぐりと頭を擦り付ける
ジープ人はその姿に愛らしさを感じながら、優しく身体を抱き寄せた
『悪かった』
「許さねぇ」
『すまない、許してくれないか?』
「…おれのして欲しい事を当てられたら、許してやる」
『外れたら?』
「許さねぇ、バラして海に撒く」
どうやら割りと本気で怒っているらしい
これは外せないなと緊張して、ローをよく観察した
が、それは案外すぐにわかってしまった
『…随分、わかりやすくヒントをくれたもんだな』
「外れてるかも知れねぇぜ?」
『いいや、外れてるわけがない』
「恋愛経験0の癖してか?」
『0じゃねぇよ、今、経験中だ』
言いながら、ジープは答えを行動に移す
目を瞑っているローの唇へ、自分のそれを押し当てる
“キスしろ”
それが、答え
『外れたか?』
「…わからなかったな」
『フ…じゃあ、もう一度だ』
今度は触れ合わせるだけでなく、少し口を開いて深くもなくしかし軽すぎないキスをした
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