☆Singing!(dreamstory)☆
□MUSIC1:すべての始まり
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ある日のことだった。
私、穂科 美琴は仕事のないはずの休日に自分がアイドルとして所属しているシャイニング事務所の社長、シャイニング早乙女に呼び出されていた。
普段、私は今大人気のアイドル『琴音』として仕事をしている。
ライブやドラマにCM出演でとても忙しい。
正直にいえば、久しぶりの休日で今日はゆっくり寝たかったのだが、そうはいかなかったようだ。
事務所は私が一人暮らしをしているマンションから歩いて20分ほどの場所にあった。
事務所についた私は少しため息をつきながら、社長のいるであろう場所にむかった。
コンコン
「ん〜?どちら様デスカ〜?」
私が扉をノックすると中から陽気な声が聞こえてきた。社長だ。
「社長、穂科です。」
「Mis.穂科!待ってマシタ〜!入りなYo!」
ガチャ
「失礼します。本日はどのようなご用件で私を呼んだのですか?」
はやく用をすまして帰りたい。
そう思った私は社長に訪ねた。
「今日Youを呼んだのは〜Youのこれからの活動について話すことがあったからデス!」
相変わらず個性的な話し方をする人だ。
「私のこれから、ですか。」
「琴音はいまのままじゃダメよダメダメ!半年前から新曲も出てないしこのままって訳にはいきませーん!」
そう、琴音はとある事情で半年ほど前からCDをリリースしていない。
私もそのことについては少しだけ考えていたけど、どうするべきか話していなかった。
「そこで!Youには作詞作曲をして、それを歌って貰いたいのデース!」
…は?このおっさん、今なんて言った?私が作詞作曲?
「ちょっと待ってください。私作曲とか作詞とかできませんよ。」
「何を言っているんデスカ〜!最初から諦めちゃダメダメよ!それに、Youが出来ると思ったから言っているのデース。それとも…」
そこで早乙女の雰囲気が普段の陽気なテンションから真面目で、真剣なオーラに変わった。
「お前ではあいつの変わりにはなれないのか?作詞作曲をやらないのなら、アイドルをやめて、実家に帰るべきだ。」
一気に空気が冷たくなったような気がした。
私は少し考えてからため息をついてこう言った。
「ずるいです。私があの子と比べられて、断るはずなんてないじゃないですか。というか、私はあの子の変わりなんかじゃありません。そこは勘違いしないでください。」
この言葉を聞いた早乙女はまた陽気なテンションに戻り、
「Youならそういうと思いマシタ〜!なら、期待してますヨ、Mis.穂科」
「ええ、作詞作曲なんてすぐ終わらせてみせますよ。ではこれで失礼します。」
私は帰ろうと社長に背を向けた、その時。
「まだ話は終わってませんヨ!Mis穂科!」
再び名前を呼ばれて、私は振り返った。