NanatsunoTaizai

□Eighth 〜少女の記憶〜
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その事件が起きたのは、今から100年も前のこと――…



その日は、星の綺麗な夜だった。



―ギャアアァア!!―



森にこだまするのは、たくさんの悲鳴。


夜空に浮かび上がるのは、赤く燃え盛る村。



私たちの村が……燃えている…



『おにぃちゃん…!』


「に…逃げるぞ!」


『…いや……だよっ…!!』



仲間に群がる人間たち。


次々と羽や毛皮を剥ぎ取っていく。


次々と…仲間が殺されていく。

家族が、殺されていく。



「…レ、オ……ナツメ……逃げ、てっ……」


「…早くっ……逃げ、るんだ…!」



大好きな、ママとパパから…翼が取れていく…


血が……


血が……いっぱい流れて…



命の灯火が、次々に消えていく。



『……や…めてっ…』



やめて、やめてやめてやめて……!!


もうこれ以上、みんなを殺さないで!



『やめてぇえぇぇえ!!』


「っ!? ナツメ!!」



レオの手を振り払い、人間たちに向かって突進する。



……殺してやる

人間なんて………

聖騎士なんて………



『殺してやる!!』



幼い私は、人の姿から獣の姿へと変身し、襲いかかった。



―ズギューン―



その弾丸は、幼い私の肩を貫いた。


小さな、白い翼に……紅が広がっていく。


痛みで翼が思うように動かなくなって、私はそのまま地面に落ちた。




「見ろよ、コイツ白い翼だぜ〜!」

「珍しいな!」

「高く売れそうだなぁ?」



人間に翼を掴まれ、根元に刃物を当てられた。


ひんやりとした無機質な冷たさが伝わってくる。



『…い、や……』



"やめて"


たった三文字の言葉が、喉から出てこない。


…っ怖いよ……


誰か……


誰か……



『…助、けて……』



ねえ…


誰か……


誰か……言ってよ。



目の前に広がる地獄――…



こんなのは…


こんなのは…


全部、全部



『…悪い夢、だよね……?』



そうだよね……?



『…おにぃ…ちゃん…』


「ナツメーーー!!!」



 
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