死神さんのお仕事
□娼婦の夢
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穢らわしく、意地汚い、嘘つきばかりの世界。
その中に借金の肩代わりとして女は売られた。
ネオンが煌めく繁華街。
美しく着飾った淫らな女が男を店へ誘う。
「こんナ事したクないのに…」
男は同意して、女の腰を引き寄せながら店の方へ歩を進めた。
「気持ち悪イ…触らないで、嫌、ソっちニは行きたくないノ」
壁の薄い個室、隣からは喘ぎ声が生々しく漏れ聞こえる。
「嫌…聞きタくない、嫌らしい」
男がシャワーを浴びている間、少しだけ迷った。
そして静かに女はその場から逃げ出した。
見つからないどこか、遠くへ。
遠くへ。
しかし女の願いは叶わず、繁華街を抜けぬ事も出来ず店の者に捕まった。