ハイキュー!!

□訓練
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午後1時。館内に放送が流れた。
『及川さん、黒尾さん、木兎さんは武道場にきてください。訓練を開始します』
赤地に黒の線が縦にはいったジャージを着た黒尾が武道場に続く廊下を歩いていると、後ろからドタドタとうるさい足音が聞こえてきた。そして黒尾の肩を組むなり大声で喋りだした。
「黒尾ぉぉお!!実戦練だな!今回は負けねえぜ!ヘイヘーイ!!」
「うるせえ!いてえ!」
「この間は俺が床で滑ってこけたところをお前にとどめさされたからな〜……悔しいったらねえよ」
「こけたお前が悪いんだろアホフクロウ」
「あ”!?今アホって言ったな!!?」
ギャアギャアと廊下の真ん中で言い合ってたら黒いジャージ姿で竹刀を持った髪の毛がサラサラな男子と、白い髪の毛で少し小柄な男性が近寄ってきた。
「…………何やってるんですか……?」
「「影山!!!こいつ黙らせてくれ!!!」」
「はいはい、二人とも早く武道場行こうな〜」
「菅原く〜ん、今日こそ合格点頂戴よ〜」
「黒尾ががんばったらな。
あれ?及川は一緒じゃないの?」
そういえば放送で呼ばれた及川がいない。どこかで油を売っているのだろうか……?
「んー……じゃあ影山入る?訓練続きでしんどいと思うけど……どう?」
「いいんですか?」
「俺は全然いいぜ!!」
「及川より全然マシだしな」
「じゃあ、お願いします」
菅原がガチャリと武道場の鍵を開けて、全員が中に入る。武道場は床が木の板で、いえば剣道場みたいな感じだ。右の奥のすみに畳とマットがけっこう積んである。広さは普通の中学校や高校の体育館ほどの広さで、天井の高さが30メートルくらいある。
道場の真ん中で影山、黒尾、木兎、菅原は柔軟を始めた。
少しすると道場の扉が開き、及川が入ってきた。
「ごめ〜ん、遅れました〜」
「遅かったですね」
「ゲッ、飛雄!?」
「及川〜、放送かかってただろー」
「菅原くんごめんって〜!ちょっと報告書書いててさ」
「またかよ」
影山の隣のに座って柔軟を始める及川。菅原は立ち上がって、指示を出し始めた。
「えっと、今日は能力が使えなくなった時に備えて体術をします」
「能力使えなくなるときとかあんの?」
木兎が不思議そうに聞く。体力バカの木兎にはおそらくその経験がないからだろう。
「あるよ。敵と長期戦になったら体力も消耗するし、精神的にあまり安定しないから能力が使えなくなったりするんだよ。それが1番怖いんだよ……影山は知ってるだろ?」
「……ウス」
影山は以前妖力を一気に使い過ぎて能力が使えなくなり、敵に殺されそうになったことがある。それから影山は体術の訓練にも力を入れるようになった。
「体力があれば能力は使えるんだけど、全員が木兎みたいに体力があるわけじゃないからね。」
「ほんと、お前
体力だけは組織で1番だもんな」
「うるせえ!能力だっていつか1番になってやるぜ!!」
「それ前も言ってなかった?」
「あーもー!及川まで!お前は報告書と一生にらめっこしてろ!」
にらみ合う及川と木兎を無理矢理引きはがして、菅原が指示を続けた。
「じゃあ対戦相手を言うね。まずはじめに及川と影山。それから黒尾と木兎ね。一応時間は10分。それまでに相手を倒せたら合格。できなかったら夜のにある能力の訓練削ってこれの続きするからね」
「えー……俺能力の訓練のほうが好きなのにー」
「グチグチ言わないのー。はい、用意して。あ、そこにある木刀とか使っていいからね」
菅原が指をさした場所には木製の武器が置いてある。生身で戦うのが苦手なら武器を使いこなせないといけないからだ。
「飛雄、何か使う?」
「木刀使わせてもらいます。及川さんは?」
「俺は何も使わないよ」
そう言うとスタスタと道場の真ん中に行ってしまった。そのあとを追うように影山もついていく。
「くれぐれも怪我をしないように。
始めっ!!」
ピーッとタイマーの音が鳴り響いたのと同時に及川は影山に向かって勢い良く走り始めた。
「(正面からか……!?)」
身構えた瞬間、及川の姿が消えた。
姿を追うべく辺りを見渡すが、いない。
「こっちだよ」
後ろを振り返ると及川の拳が見え、とっさに木刀で防いだ。だが、力が強すぎて木刀が二つに割れてしまった。
「ッ!」
「飛雄も武器なしだねッ」
影山が割れた木刀を手放したと同時に及川は影山の顔面に蹴りを入れた。だが、左腕で蹴りを防がれてしまった。
すると影山が瞬時にしゃがんみ、及川の足を払ってバランスをくずした。重心が後ろに崩れた及川に多い被さるようにしてジャンプしたが、憎いくらいきれいなバク転でかわされてしまった。また正面から及川が走ってきて、右フックをかます。それを腕でガードする影山。さらに及川が連続でパンチを放ってきた。
「ほらほら!ガードばっかじゃすぐ負けちゃうよ〜!」
「ッ!」
ガードしきれなかったパンチが影山のみぞおちにヒットして、その場にガクンと膝をついてしまう。
「(くそ……息できねえ……っ)」
「菅原くん、もう終わりでいいよ」
壁に設置されているタイマーの隣に立っている菅原に合図をした。影山はよほど苦しいのかまだ息を荒くしている。そして菅原がタイマーを止めた。
「飛雄大丈夫?立てる?」
「大丈夫で……す……」
「もう少し強くなんないとだめだよ」
「ッス……」
及川に肩を担がれて菅原がいるところにもどった。

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