■Optimus■

□【滑稽な愛は届かない】
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オプティマスはその表情を愛しそうに目を細め、笑った



「明日は休みだから約束の行きたい場所に行こう。」



オートボット姿になり戦闘準備をした



私の愛しい人は再び振り向きまたあの優しい瞳を向ける







私ではない、別の子に








「私ね、オプティマスの事好きなの。」


そう恥ずかしそうに言うのは私の1番の親友七菜だった

口を両手で覆って可愛らしく照れている



彼女はNESTの事務で働いておりあまりオートボット達とは関りが無い

一方私はメンテナンス係なのでほぼ毎日触れ合っている

私もオプティマスの事は好きだが2人に接点などないので

付き合う事はないだろうと安心していた


それにオプティマスと毎日のように話してる

どうみても可能性があるのは私の方









なのに






「七菜は他の男に言い寄られてないだろうか。」

オプティマスのメンテナンス中、彼はこんな事を言い出した

「七菜?」

好きな人の口から他の女の名前、たとえ親友でも嫌だったが美波は変わりなく話を続ける

「あぁ。七菜は押しに弱いから心配なんだ。」



七菜は女の子らしいし、可愛い

NESTの男達は隙あらばと狙っている者は少なくなかった



「大丈夫なんじゃない?」


そっけなく返しても会話は終わらなかった

「しかし、七菜の性格上断れない事が多いようだ。この前もNESTの人間から…」







どうして七菜の事ばっかなの?



どうしてそんな事知ってるの?





「オプティマス、明日空いてる?」



気持ちが七菜にいってしまう前に自分のモノにしたい

だけどとっくに遅いようだった

「あぁ悪い美波。明日は七菜と約束があるんだ。」





「七菜と?」







私の嫌な予感は的中した







「私達ね、付き合う事になったの!」

七菜の隣には私が想いを寄せてるオプティマス

その大きな手は七菜の手をしっかり握っていた



「良かったね!オプティマスが彼氏なら悪い虫なんて寄ってこないね。」



それだけ言うと仕事があるふりしてその場を去った







幸せそうにしないで





私の方がオプティマスの事好きなの





ずっと隣で



七菜より近くで見てきたんだから





七菜よりオプティマスの事は知ってる





「オプティマスはね、゛読書゛が好きなんだよ!読む行為なんて必要ないのに、

時間をかけて紙をめくるのがゆっくり出来て好きなんだって〜」



嬉しげに彼氏の話をする七菜

何かと話題はオプティマスだ





やめてよ



知りたくないよ





私の知らない事





自慢げに話さないで







別れてしまえばいい





でもそんな事はオプティマスにとっても七菜にとっても考えられない事だった

2人はお似合いで

お互いをほんとに大事に思っていた





「好きなのに…っ…私だって好きなのに…っ」



夜、ベットでうずくまって泣いた



自分の方が近くに居たのに取られてしまった事が余計悔しかった



気持ちは本気なのに





想いだって七菜より強いのに





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