■Optimus■

□【今までにないアナタで私だけを想って】
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「ねー、オプティマス」

「どうした。」

ソファに座って私と撮った写真をこの前も1枚ずつ見返していた

本来ならそのような行為は必要ないが、

オプティマスは「こうして君との思い出を見たい」と言ってペラリと写真をめくる



ふと、私が名前を呼ぶもんだからその写真に向けてた優しい目をこちらに向けた


「私が突然死んだら、悲しんでくれる?」

オプティマスは一瞬動きをとめた

「悲しんでくれる?」


構わず質問した



オプティマスは写真をテーブルに置きソファから腰を上げる

そして私の方へと歩く


「どうしたんだ急に。」

良いとは言えない顔つきだ
「んー、悲しんでくれるかなって。」



一回見てみたい


自分が死んだらどれほどの人が悲しんでくれるのだろう


泣いてくれるんだろうって



いつまでその人達の中に自分は記憶として残るのだろう


オプティマスはずっとメモリで記憶できるんだろうけど


いつから、思い出の人になるんだろう


懐かしいと言われる日まで





もうメモリを起こしてわざわざ私を思い出す日が来なくなる日まで

他の大切な人に記録が埋もれてしまうまで




何日かかるんだろうって


「いつまでも過ぎた事を悔やんでいては前をみることは出来ない。

過去に立ち止まってはいけない。」




すごい、予想外な答えが返ってきた




ショック


当り前だって、言ってくれると思ったから
そんな自己中心な考えなんてオプティマスに関係ないけど


けど、嘘でもそう言ってほしかった



「そっか」



それがオプティマスの強さだから


これが、ずっとリーダーとして先頭を切ってきた彼の強さ


そんなオプティマスも好きだから

私は受け入れるしかないよね



「美波が過去の人になる前に私が助けに行く。」



「え?」




そう言ってオプティマスは私を抱きしめた



「“突然“というのは誰にも知ることが出来ない予測不可能な出来事だ。

だが、もし美波自身がその“突然“を自らしようとしてるなら、

私は助けに行く事が出来る。」



オプティマスの言ってる事はわかっていた


私が自らしようとしてる“突然“というのは自ら命を絶つという事を



「だから、そんな“もしも”の話はしないで欲しい。」



悲しそうな表情で、でも力強く抱きしめてくれたオプティマス


私は酷い“もしも“の話をしたと思う

何千年も大切な仲間の死を目の前で見てきた彼に彼女の私がこんな話をするなど

無神経だと我ながら思った


大切な人を失う気持ちはオプティマスは痛いほど思い知らされてきた



「ごめんね」


大きくて温かい背中に私も手をまわす

胸に顔をうずめると心臓の鼓動の変わりに機械音が小さく聞こえた






もしね、





その助けが間に合わなかったら


一晩だけ悲しんでほしい



私だけのために


私だけの事を思った一晩を



今までで1番の感情を




最初で最後


私だけを想って



次の日はどうか





あなたらしく

オプティマスで居て





END

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