■Optimus■

□【怪盗少女】
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「この車、カメラついてないし…あっ 時計ある。ラッキー♪」

辺りも暗くなった頃美波は外にでてドライブレコーダーのついてない車を探す
簡単にかぎのロックをはずし中に入る

小さなポケットに入ってる小銭や時計、
そして助手席のグローブボックスを開けてお札を拝借
後ろのほうにも周り金になりそうな物を盗み車から出た


これを1日に数回繰り返しだいたいニ週間分くらいのバイト代ほど稼ぎ
高く売れる物だと数千ドルになり十分生活の足しになった


*


今日はオフのオプティマス



ここ最近丸一日休める日がちょくちょくあったので一人で街をドライブしに行き、路肩に停め人間達の様子を見ることにした
カップル同士手を繋ぐ者、生き物(犬)の散歩をする者、ジョギングする者…

あたりも薄暗くなりそろそろNESTへ戻ろうと思ったオプティマス

ふと、ひょこっと窓を覗く女の子を視覚センサーはとらえた

「今日はこのエリアにしよ」
監視カメラがなく、暗い路地
人通りもないので路駐してる車の中をあさってもバレにくい

「おっトラック」
3回目くらいで見つけたのは長距離トラック
長距離は高速道路やパーキングに寄るのでなかりの確立で札があった

よいしょ、と窓が覗けるところまでのぼりドライバーが居ないかを確認
札がある確立が多い反面休憩してるドライバーも多いので人が居ないか確かめる

「いないね♪」
ドアに手をかけると以外にもあっさりドアが開く
「このトラック鍵かけてない…てことは早めにドライバー戻ってくるね。」
見ればキーもさしっぱなしだった
これは早くしないとと急いでグローブボックスを開ける

「あった♪」
やはり札がありそれを全部手に取る
「ちょっと借りま〜す」
とおちゃらけた声で言って降りようとした瞬間

「借りるというには随分言いがたい借り方だな」
「!!」
そう聞こえた声に驚き辺りを見渡すが誰も居ない
「どこから見てるの?」
きっとどこかにカメラがあるのだろう

美波は逃げずに大人しくした
「ごめんなさい。返すよ」
取った札を元の場所に戻す
「こういう事はしてはならない。わかったら降りるんだ。」


あれ?

思ってた展開と違う
美波はバレたらだいたい体を売って見逃してもらってた
今回もそうなると思い車内で待ってるつもりだった
「…通報しないの?」
「あぁ。しない。」
どうやらオーディオから声がきこえる
だがこのまま降りてもし通報されたら私が100%悪いことになる
ましてや監視カメラで姿が見えてるのだから動かぬ証拠
なのでSEXでもしてしまえば男も通報できず捕まらない対策になるのだ

「いや…直接謝りたいから戻るまで待ってるよ」
オプティマスは予想外の答えに困った
手馴れた手つきからして常習犯だろうが見逃してあげようと思ったのだ
それ以前にドライバーが居ない状況で警察には突き出せない

「私は戻るのが遅くなる。」
ドライバーのふりをして会話を続けた
「いいの。待ってる。」

動くつもりはないようだ
いつまで待ってもドライバーなど来るわけがない
オプティマスは美波にきこえないよう小さく排気をため息のように吐く
「今日は夜中まで外に用事があるのだ。そんな時間まで女性一人で歩いては危ない。」

帰るように催促した
「夜中まで?だったら何でキーを挿しっぱなしにしたり鍵をかけずに出てくの?」
「むぅ…」
確かにそんなに車を空けるならおかしかい言い訳だ

「もしかして、アジアの女は嫌い?」
幼くも綺麗な顔立ちをしている日系の美波
捕まりそうになっても今までこのルックスで男達を黙らせてきた
「いや、そういうわけではない。今日はたまたま鍵をかけ忘れて…」
「ドライバーで運転しなれてるのに忘れるの?」

やっぱりタイプの顔ではないんだろうか
にしてもオーディオから流れる低音の声はイケメンを連想させる声色だった

口調も優しく、席の周りには他のドライバーみたく
飾りや余計な物は一切置いておらずとてもキレイだった
美波は口止め関係なく会ってみたいと思った


「今日は本当に夜中まで帰らないのだ。」
ムリに追い出すわけもいかず困るオプティマス
それにアメリカの街を一人で、ましてや女性が歩くなど危険な事はさせられない

「…わかった。じゃぁ次いつ休み?」
あぁよかった、と思ったのもつかぬ間

次の休みを聞かれた

「休みは不定休でわからない。」
「じゃぁ毎日ここで待ってるね!」
どうして彼女はそこまでして会いたいのか…
「会える約束は出来ない。」
そんな約束をしてしまえば人間の手が必要だろう
しかしこんな事でNESTの人の貴重な休みを潰すわけにもいかない

「いいよ。待ってる。」
不定休でわからないっていう事は遠方でここに来てるわけではなさそう
ここから近いはずだ
会えるかもしれない

「私、美波。あなたの名前は?」
「私はオプティマス・プライムだ」
美波はやっとドアを開けて降りる
「待ってるからね!オプティマス!」と言って去っていった

美波がセンサーから消えるとオプティマスはようやくエンジンをかけNESTへと走った


だが、困った


たとえ会う約束をしても一旦別れてしまえば
もうあの場所に行かなくていいだけの話
しかしあんな事を言われ無視できないのが
嘘をつけない正義感溢れる男、オプティマス・プライム

本当に毎日あの場所で待ってるとしたら彼女に申し訳ない


オプティマスは次の休みまで落ち着かない様子で過ごしていた
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