■Ironhide■

□【大きなカイロ】
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「さむーい!!」
せっかくの休日、毛布にくるまるなんて勿体無い事は出来ない
だが夜まで買い物が長引くとは想定しておらず
日中よりも刺すような冷たい風に凍え死にそうな香織


バス停まで来たがさっきのさっきで出発してしまい20分も待たなければならない

顔の半分以上をモフモフのマフラーにうずめ寒さを凌いでいた


「寒そうだな。」
聞き慣れた声を振り返ってみたら珍しくヒューマンモードのアイアンハイド

他のオートボットよりも頑丈な金属の体を持つアイアンハイドにとって
目線が低く柔な人間になることは抵抗があり、あまりヒューマンモードにはならない彼
「めめめ珍しいねどどどどこに出かけてたの?」
寒さにガタガタと震える香織に対しアイアンハイドは薄手のパーカー一枚
素材はあったかそうだが明らかに人間から見たら寒い格好だ

「オプティマスが少しは人間の街を歩けとうるさくてな。」
あぁ、成る程
オプティマスは人間の物に最近興味を示している
休暇が取れればあちこちヒューマンモードで街を歩いてるらしい
(その際に貰ったモデルのスカウト名刺を困ったようにポケットから出してた)

「俺が送ってやるよ。」
ビーグルモードになろうとしたがすぐに香織は止めた
ヒューマンモードで居るアイアンハイドはあまり見れるものではない
その強面な顔面からモデルのスカウト名刺を貰うことはないが
充分に整った顔はオプティマスに負けず劣らずだ

「でも寒いだろうよ。」
香織の体の温度をサーモグラフティのように表示すると緑や青が多い
指先、足先に関しては真っ青だ

「私に良い考えがある!ふふっ」
オプティマスの真似をすると香織はアイアンハイドと同じ方向を向きピタッとくっつく
「抱き締めて、大きなカイロさん!」
後ろから抱きついてもらえば寒さはしのげる

「バスを待つのか?」
「いいじゃない、たまには。はやくっ凍え死んじゃう!」

バタバタと足踏みをして腕をまわすよう催促した

「こうか。」
なれない動作にぎこちなくなる
「あ、ちょっと力強いかも。」
アイアンハイドは人を抱き締めるなんて経験がない(敵を絞め殺す事はある)

ので力加減がわからないらしい

「このくらいか。」
少し腕の力をゆるめると満足そうに「うん!」と笑った

「体温もう少しあげて〜」
言われるまま温度を少し上げるアイアンハイド
「便利な体ね。」
しっかり伝わるアイアンハイドの体温に少しずつ体が暖まってきた

「人間は小さいが香織はもっと小さいな。」
欧米人女性と比べて香織は背が低くNESTの中である意味目立っていた

「こればっかりはアイアンハイドがでかすぎるんです。」
アイアンハイドと比べたら普通の男でも小さくなるだろう
そんな大きい体に包まれては誰でも小さく感じる
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