■Ironhide■
□【真面目になります。】
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「ディーノはやっぱかっこいいね!」
ビークルモードのディーノの横を通るなりそう言い放つ香織
フェラーリが目の前にあったら大体の人はカッコイイと思うだろう
だがそれを不満気味に見ていたのは彼氏でもあるアイアンハイド
ビークルモードのままバシュ、と排気をもらした
彼女の香織はノリが軽い
誘われればクラブにも行くし、ナンパも着いて行ってしまう
元から遊び人だったがアイアンハイドが彼氏になってからは控えていた
「彼氏が出来ると真面目なんだな」なんてレノックスが笑って言う
「当たり前です!遊んでると言ってもキスも手も繋がないですから!」
香織はおちゃらけていても一線はちゃんと引いていた
それは彼氏の居ない時でもそうだった
[楽しく遊んで好きな人にだけ体を許す]
それが香織の遊びのルールだった
2人きりになって男が襲ってきても香織はNESTに所属している女だ
戦闘には出てないにしてもそこらの男より腕はあるのでいつも簡単に倒していた
しかし、彼氏のアイアンハイドが居ても遊びたい気持ちはおさまらず…
友達もクラブに誘ってくるので「まぁ良いか」と行ってしまった
そんな気持ちになるのは香織の元からの性格、というのもあるが
アイアンハイドが嫉妬をしてくれないというのもあった
男と楽しそうに話しているのを遠めで見てはプイ、とそらし何処かに行ってしまうのを
何度か香織は見ていた
2人きりでも別にそんな事には触れず、ただいつものように会話をしている
『ほんとに私の事好きなのかな…』
軽く嫉妬させようと思い「今日、クラブに行ってくるね!大丈夫、すぐ帰ってくるから」
とヒューマンモードの彼にチュ、とキスをし露出度の高い私服で行ってしまった
「あぁ」
アイアンハイドはそれだけしか言わなかった
「もう…少しは『行くなよ』とかないの?」
あっさりした返答に不満を呟く
そしてクラブ__
照明は様々な色に変わり音楽は心臓にドンドンと響く
その音に合わせて若者はダンスをしたり、カウンターで酒を飲んだり、女を口説いたり…
カウンターで飲んでると1人の男が近づいてきた
「可愛いね。彼氏居る?」
男は隣に座り酒を注文
「居るかもしれない」
イタズラに笑って返す香織
「今だけ、居ないんだろ?」
ハッキリ居ないとは言わずただ微笑んで男の目を見る香織
冗談でも居ないと言ったらアイアンハイドの存在を否定してるようで嫌だった
「お酒、何が好き?」
「チェリー」
「OK」
男が酒をウェイターに頼む
「香織!」
友達が香織の名前を呼んだ
「良い人見つけちゃった♪悪いけど、帰りは1人で帰って!」
友達の隣には金髪の男
「も〜、何人一夜限りの男捕まえる気?」
「男を捕まえたいから一発ぶち込むんでしょ!私は彼氏探しに真剣なの!」
笑って香織に言った
「わかった。楽しんでね」
テンション高くさよなら、と友達は手を振りクラブを出て行った
「私も帰ろうかな」
いつの間にか置かれたチェリーのカクテルを一気に飲み干した
「家まで送るよ」
いつもなら断るが、今日はアイアンハイドに嫉妬させるために来たのだ
キスも手も繋がないが男と居る、という状況を作って嫉妬させたかった
「送るだけね」
そう言って2人もクラブをあとにした