■Ironhide■

□【遅めの告白】
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「かんぱーい!!」



次々にゴツン、とグラスをぶつける音が響く

明日が休みな者だけ集まり、酒を交わしていたNESTの軍人達



「事務処理には慣れたか?香織」



パソコン画面に向かう事の多い香織の作業

最近NESTに配属された女性の新人だ

若く、可愛らしい顔をしており他の強気なNESTの女性陣と違いおっとりした性格である



「報告書は面倒ですけど、慣れました!」

何かと軍の男は香織を気にかける

下心ありだが、香織は全く気づいておらず

他の女性陣から「もっと気をつけなさい」と心配されていた



その心配はオートボット達も同じであった



「おいおい…あいつあんなに酒飲めたか?」

少し遠くの方でヒューマンモードになっているオートボット達

ディーノはワイン片手にどんどん酒を注がれている香織を見る

「もう5杯目だぞ。」

ディーノの問いかけに不機嫌そうに答えウォッカをグイっと飲んだアイアンハイド



「リキュール美味しい〜!」



そう香織の声がきこえた

甘く飲みやすい酒を飲ませ、時折ビールをはさんでいる

そして「口直しに」とまた飲みやすいリキュール、と交互に飲ませる軍人



誰がみてもその行為の意味はバレバレだった

が、皆すでに酔っていて飲んだり飲ませたりのオンパレード

軍人のノリは一際すごい

空いた一升瓶が次々に増える



「ん〜、ビールは苦手です…」

時々注がれる酒はビール

「いや、慣れるもんだ」と飲ませる軍人

そして次に注がれる酒がリキュールなもんだから

香織は口当たりを直そうとまた飲み干す



甘く飲みやすいので気づかぬうちにアルコール摂取を大量にしやすい

元々酒はあまり強くない香織

いくら度数が低いとは言え

ビールもちょくちょく飲んでるので酔いがだいぶ回ってきたようだ



「ん〜…ちょっと水を…」

と立ち上がった足は大きくフラついた

「水ならこっちだ。場所を教えるよ」

と軍人は支えるように肩に手をまわす

そして水があるテーブルとは全く別方向へ2人は消えていった



「あの野郎」

アイアンハイドは持っていたグラスをパリンと割り立ち上がる

「チャオ」

ディーノは去っていくアイアンハイドをニヤニヤしながら見ていた





「なぁ大丈夫か?」

ちょっとした暗い路地の中

ぼやける視界でなんとか覗き込む軍人と目を合わせようとする

「大丈夫です…」

その目はトロンとしていて襲ってくださいと言ってる様な表情だった



「体…熱いだろ」

男は香織の軍服のボタンを一個一個はずしていく

もうその行動が理解出来ないほどベロベロに酔わされた香織はただボーッとしていた



下着が見えるなりニヤリと笑った男

「これも…窮屈だろ?」

ホックに手をかけた瞬間「おい」と低く落ち着いた声がその行為を止めさせた



「ア…アイアンハイド!いや、これは、香織が熱いと言ったからで…!」

アイアンハイドは身の危険を感じさせるほどの目つきを軍人に向けていた

「あぁ、そうか。他に言う事は?」

恐ろしいほど殺意のこもった低い声色



「わ…悪かったよ、俺もう戻るわ」

「二度目は怪我なしに歩けると思うなよ」

逃げるようにその場を立ち去る軍人

本来なら一発殴ってやりたいとこだが

例えヒューマンモードでも力の強さは人間をはるかに超える

そして腐っても軍の仲間なので今回は見逃す事にしたアイアンハイド



「立てるか」

スキャンしたところ無理そうだとすぐにわかったアイアンハイドは

香織を荷物のように肩に担いだ

が、「ちょ、ダメこの体勢…!」と苦しそうにする

酒を飲んだあと逆さまにされるのはキツイ

しょうがなく降ろし、「のれ」と膝まづいておんぶをする

「ヒューマンモードでもォ…アイアンハイドに、のっちゃった…トップキック*◎%×@…」

ヘラヘラと笑いもう何を言ってるのかわからない



アイアンハイドは香織の部屋に運びベットに座らせる



「あれ…皆は?」

運ばれてる間に酔いが少し冷めたのか

やっと状況がわかるようになった香織



「おい」

誰の声かと思い目の前の人物の顔に焦点を合わせようとする

だがその目は一気に天井をうつした

「わっ」

アイアンハイドは香織を押し倒し両手をがっつり抑えていた



「アイアンハイド…?」



「助けた俺にも誘うような目でみやがって…露出させやがって…」



誘う?露出?どういう意味、と聞こうとしたがその問いかけは

アイアンハイドの唇にとって消された



「んっ…」

噛み付くような激しいキス

くちゅ、と何度も音をたててようやく離れる

「はぁ…っ」

少し苦しそうに息を漏らした



「アイアンハイド…っ何でこんな事…」

アイアンハイドの事は前から想いを寄せていたが告白などしておらず

この状況に戸惑った



「お前はホイホイ男についてくから心配だ。

…もっと早めに伝えるべきだったな。香織、俺の女になれ。」





ディーノから聞いた話

香織はアイアンハイドが好き、と噂が出回っていると

本人に問いただしディーノにだけようやく本当の事を言った

「好きだよ…アイアンハイドの事」

ディーノから再生された声を聴き安心した

アイアンハイドも香織の事が好きだった



だが安心したのもつかぬ間

香織はモテるので(本人は気づいてないのが厄介)軍の男に誘われる事が多かった

そして酒の席では注意して香織を見ていたがあの始末



「えっ!!」

思わぬ告白

どっからそんなセリフ調べたのだと余計な事にわざと気をそらした

だが目の前のアイアンハイドは真剣な顔つきで香織を見つめる



「ダメか?」

「そんなわけない…っ!彼女にしてください」



真っ赤になって目をそらす

もう酔ってなどいられなかった



「俺の居ない酒の場では飲むなよ」

「ハイ」

「男と2人きりになるなよ」

「ハイ」



アイアンハイドはそう言うと再び舌を絡めた









END

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