TF―長編。Sideswipe

□【過去】
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〜三年前の過去〜

「キャバクラか〜…」

せっかく正社員で入れた仕事先を辞めもう一ヶ月

そろそろ収入がないと貯金を崩すことになるのでバイト募集広告をあさっている日々

自給が納得いかず別サイトを見ていると夜系の仕事が目にとまる

「やっちゃおうかな」

体験入店を何度もしてればお小遣い程度には集まる





「初めまして優実ちゃん。免許証見せてもらえるかな?」

免許証を見せ、キャバクラで使うジェスチャーも簡単に習った

待ち時間の間壁にある張り紙をチラリと見る



「「指名強化の月。一週間に4本取れなかった人は指定日強制出勤」」

「「目指せ100ポイント!ドリンク0,5pt、同伴2pt指名3pt…100ptごとに時給千円UP」」



いろんなルールや給料についての張り紙

売上表も張り出されていた

『絶対キャバ嬢にはなれないな…』

元々人に媚を売るのが好きではないので体入くらいが丁度良い



「“ことみちゃん“」

源氏名で呼ばれドレスをひらりとなびかせてボーイの後を追う

「最初は先輩がお酒の作り方とかライターするから。慣れたらことみちゃんもやってみてね。」

「はい。」





初めての体入が終わるとその場で給料をもらえた

「ドリンクが5本、場内指名が3本…初めてにしては場内があるね。本格的に働かない?」

渡された金額は1万7千弱

実際の接客時間は5時間もいかないのにその金額に思わず笑顔になる

「もう少し考えてみます。ありがとうございます。」



優実は半年以上キャバクラで稼いだ

続けたお店もあるが、ノルマが発生する期間に入ると優実はすぐに辞める






「すっごい可愛いね!今暇でしょ?御飯食べない?」

夜中のネオン街を歩いていた優実に声をかけた男
「えー、暇じゃない。」
体入が終わり始発の電車を待っている時間は割りと男からのナンパも多い

お店の方で家まで送ってくれるが、送り代を引かれてしまうので電車を待っていた

断るのもめんどくさいので近くのお店に入ろうとした時にタイミング悪く声をかけられる


「今の時間電車ないでしょ?家まで送るよ!」
その言葉に、ゆらぐ



電車代が浮くなら…

送ってもらうだけ


最初はそう思っていた

だが男は話が上手く、わずかな時間でも楽しいと感じた
体入の毎日で自分からの話題提供に疲れていた優実にとって心地良い時間だった


それから頻繁に会うようになって


「お前が好きだ。付き合ってくれ。」
真剣な告白にタイプではないが付き合う事にした



「私ねー、前にあのお店の店長と付き合ってたんだ〜」
酒が進み、会話も弾んだのでつい関係を持ってはいけない相手と付き合ってた事を話した

そこには体入ではなく、3ヶ月近く働いていた事
相手は妻子持ちと知っていた事
噂がたったのでバレる前に辞めた事
そして今もまだ好きだという事__
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