TF―長編。Sideswipe

□【address】
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どうして私ばっかこんな目に

死にたい

そう思って気休めに程度に自殺サイトを開いた
夜に、外でこんなものを探すのはもう何度もしている

様々な死に方の成功度や苦しさ度など書かれているサイト
何度も見たが、こんな気持ちになった時は目を通しておきたかった

いつかの、その時に備えて


「優実?」

涙を拭きながら帰路を歩いていると向かいから自分を呼ぶ声に顔をあげる

「サイドスワイプさん…?」
こんな時に会うとは思わなかった
「い、家近いんですかっ?」
とっさに会話をする
泣いたとバレてないだろうか
街灯がちらほらあるだけだから、きっと大丈夫

「いや、ふらふらしてただけ…って、優実泣いてんのか!?」
バレた

暗いが、サイドスワイプには関係ない
まさかどこか痛いのではと、こっそりスキャンをするが見た限りでは大丈夫なようだ
「いや、ちょっと頭が痛くて」
「泣くほど痛むのか!?今すぐ病院に戻って、」
「大丈夫です!治りました!もう治りました!」

心配してくれるサイドスワイプに慌てて治ったと連呼する

「本当に大丈夫か?」
「はい。平気です。」
ならいいけど…と落ち着くサイドスワイプ

「家まで送るよ。荷物、体にはまだ負担だろ?」
そんなに重くはない手にしていた荷物をひょいと取る
「えっ、いいです、悪いです!」
「迷惑か?」
そんなふうに言われてしまえば断れない
「いえ…ありがとうございます。」
サイドスワイプはにっこりすると優実と同じ方向に歩き出した

「サイドスワイプさん、日本語上手ですね。」
逆方向に歩かせるのが申し訳なかったが会話を始める
「やめろよさん付けなんて。呼び捨てか、スワイプで良いって。あと、敬語もダメな。」
「え、でも…」
「俺がそういうの苦手なんだよ。」
はは、と笑うと優実は苦手な敬語からタメ口に切り替えた

「じゃぁそう呼ぶね。スワイプは何でそんな日本語上手いの?」
「まぁちょっと勉強したからな。」
「仕事で必要なの?」
「すげー必要。」
他愛もない会話をしながら街頭の少ない道を歩いた

こんな暗い道1人で歩こうとしてたのか
ネットで見たけど、日本の女の子は夜道を平気で歩くってほんとだったんだな
それだけ日本は安全て事か
でも、危ないよな

にしても、泣いてた理由はほんとに頭痛だったからだろうか

もう一度こっそりスキャンをすると電子機器_携帯にスキャンを止める
プライバシーだとわかりつつ、中を見てみた
ボタンを押し、画面を暗くしただけでインターネットを開きっぱなしの携帯
もちろんスキャンをされてる事など知らず、優実は会話を続けている

サイドスワイプのブレインサーキットに入ってきた情報__それは
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