■その他キャラ■

□【ドメスティックな罠】
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後ろからひしと抱きついてくる女は甘い声で彼の名を呼ぶ

「バリケード、愛してる」

満足そうにその言葉を聞くと千恵美の傷だらけの体を突き放す

衝動で床に転げ手をついた千恵美をバリケードは冷たい紅い瞳で見下ろし、白い首筋を爪でキリと傷をつける

痛そうに顔を歪めるが、拒否する素振りは見せず痛みに耐える

やがてじわりと血が浮き出てくるとバリケードは舌先で舐めとるが、不意に噛みつくようなキスに変わったので千恵美はまた痛そうな表情をした

「良い子だな。」

褒めてくれたことに千恵美は嬉しそうに口角を上げた

「俺の事が好きか?」

「うん。」

見上げる目はまさに忠実な犬のようにウルウルとこちらを見ていた

ここまで素直で純粋な女も初めてだったのでバリケードなりに可愛がっていた

首につけた傷だけでは当然収まるはずがなく自分の家に帰るころには体は傷やアザが新たにつけられていた

痛みで涙が出てくる夜道、向かいから見慣れた男が歩いてくる


「てめぇは馬鹿だ…」

バリケードの彼女など自分が気にかけてやる義理などないのだが痛々しい傷にどうしても放っておけない

なにより密かに好意を抱いているので構うなという方が無理であった

「スタースクリーム…」

少し雑に、でも優しく頬の涙を拭きとるスタースクリーム

「何でそこまでしてあいつが良いんだよ。アザもつけられてんのに。」

好きな女でさえ、いや 自分の好きな女を痛め付けるバリケードが心底気に食わない

そんな奴より自分が良いに決まってる




「でも、ほら」

千恵美はヘラリと笑い自分の頬に貼ってある絆創膏を指差す

「ちゃんと優しいから大丈夫。」




あぁ こいつは典型的なやつだ

暴力を振るう相手を嫌いにならない理由

それは後から優しくしてくれるから



「殺されるなよ。」

スタースクリームは傷のある頬を手の甲でそっと撫でた

「バリケードに殺されるなら本能よ。」

その言葉は本気だった

「暴力振るうような奴は男として最低だぞ」

「それ以外は何も問題ないの」

(これも典型的なDVの特徴だ…)





ドメスティックの罠






END



DVされてるのに別れられないひとつの例で

「後から優しくなる」からなかなか別れられないんだそう

そして「ほんとは優しい」とか「暴力さえなければ良い人なの」と言うんだそう



たまにはこんな事もされたいよね

歪んだ愛で愛されてみたいよね!(

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