■その他キャラ■

□【平和な日々に飽きてきた】
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千恵美は体格差も関係なく同じ軍服を着た男を投げ飛ばした

同時にバタンと大きな音
首の襟を掴んだまま投げ落とすのは本当の敵ではないから

「いや…ほんと千恵美は強いな。」
女に負けた屈辱とプライドを折られたことで仰向けにされた男がハハ、と空笑いをする
「手合わせありがと。」

千恵美は少し息を切らしながら男に手を伸ばす
男が千恵美の手を掴むとぐんと体を起きあがらせた




「えーと…資料資料…」

訓練が終わると事務的な作業にうつる
目的の資料がある小さめの部屋に千恵美は居た


「おい」

不意に雑な呼び方をされる

低く、憎たらしい声色をさせるのはディセプティコンくらい

元悪役軍団の誰だと振り返ると不気味な笑みでこちらを見下すバリケード
「お前ぇ、あの男に勝ったんだってな。」
噂を聞き付けたらしいバリケードはニタニタとしている

「腕っぷしが強いので有名な野郎だったのによ。」
「相手のその力を利用すれば勝てる。」
「お前ぇにしては賢いな。」
「褒めてんのかなそれは。」
「最上級に。」

相変わらず憎たらしいと心のなかで呟くとため息をついて資料の棚へと目を向ける




「なぁ」
「んー、」
「振り向けよ。」

パラパラと内容を確かめてるのにバリケードの方を向くのはめんどくさいと思いつつ首だけとりあえず動かした



「ちょっ、」

何を言うかと思えば、いや 何をするかと思えばこの男は自分の首を締め付けているではないか

ただのじゃれあい程度の力だと思ったが、違う

「く、るし…ってば、」

気道を塞がれたので声は出すので精一杯
ヒューマンモードでの力加減をまだ覚えられないのか

馬鹿かこいつは

苦しそうにバリケードの顔を見ると紅い目をギラつかせ恐ろしいほどに不適な笑みをしていた

ぎり、と首を締める握力を強めた


「っ、」

酸素の通り道を完全に塞がれたので千恵美はバリケードの腕をバシバシ叩く
白く筋肉質な腕は力を少しこめてるせいなのか、ロボットだからなのか、
筋が影を作っていて視覚的に余計強く首を絞められている気がした


なんのつもり、私を殺したいの?


そう言おうにも空気すら入らない喉から声は出ない

なんとか気道を確保しようと喉に力を入れるが更に抑え付けられ余計に痛い


ふざけんなと言わんばかりに脚で蹴飛ばすがびくともしない

「っ…、」

息も出来ない
声もだせない
愉しそうに口角をあげているバリケードは力を緩めない


あぁ 殺される

ディセプティコンの計画なのか

彼個人の感情なのか


恨まれるようなことはしてないはず

仮にも和解した仲間に殺されるなどNESTの一員として恥ずかしい限りだ…




意識が遠のきかけ虚ろな目で紅い瞳を見ると
ぱっと手を離される


千恵美はその場に崩れひどく咳払いをした

殺されかけたことと酸素を入れなかったせいで肩で息をし、心臓はバクバクと脈打っていた

「な…っ」

涙目で見上げる女、それを見下す男



「悪ぃ。」

「ケホッ…な、にが悪い、だ…はぁ…何のつもり、」

途切れ途切れの言葉を繋げるとバリケードはクツクツと笑う

「あまりにも平和でよぉ。たまには人間の苦し怯える姿を見たくなった。」

怖いくらい綺麗な顔で本能を剥き出した

自分を見下す愉しそうな紅い目


これはもうサディスティックとか生ぬるい言葉はあわない


ドメスティックだ…!



(お前の苦しそうな顔そそる)
(ふざけんな!殺す気か)



end

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