■その他キャラ■

□【NOT金属アレルギー】〜メリークリスマス〜
1ページ/1ページ

「じゃぁお先に失礼♪」



束ねていたゴムをはずすと広がる綺麗なブロンド

彼女はぽんぽんと千恵美の肩をたたき髪を揺らしながら事務を出て行った

グッバイ、と力なく答え閉まる扉を見つめた



「あー!!今日は24日だと言うのに!!」

1人になった事務室で大声で叫ぶ



今日は12月24日

15時を過ぎる頃には恋人の居る者は早々に帰り、

夕方頃になると居ない者もなぜか帰りだした(お前等何の予定があるんだよ)



さすがに事務員1人とはいかないので千恵美以外にも居るのだが

この空間に居る者は千恵美1人だけだった



節電のために人を感知して消灯するライトは千恵美だけを照らしている

千恵美から見れば少し先は真っ暗な事務室

全部電気をつけたいと思ったが、何せここ数年“損害額“という費用が馬鹿高くなっている

なので上からの提案で節電して少しでもそちらに費用を回そうと言う事になった



「よう。暗いなここ。」

これだけ節電しなければいけない原因の1人がやってきた

バリケードは雑に扉を閉めわざと暗い方を目をしかめて見る



「あなた達は暗視モードがあるから電気なんて要らなくて便利ね。」

こちらに向かってくるなり椅子ではなくディスクに座った非常識者を見上げる

嫌味で言ったつもりだが当然先ほど頭で思っていた皮肉などわかるわけもなく

「人間は消費好きだな。」なんて嫌味で返されてしまった



「宇宙からやってきた誰かさん達が器物破損しなければここはこんなに真っ暗ではないのよ。」

パソコンにカタカタと文字を打ち込む力が少し強まる

「お前の財布から出るわけじゃねぇから別に良いだろ。」



ポケットに手をつっこみ少し猫背になって脚を組んでる男をあきれた目で見る

自分は椅子に座ってるので思い切り見下されてる状況

うん、不愉快だ



「私達の給料減らされたりしたらどうしてくれんのよ。」

「仮にそうなったとしてもこんな聖夜にプレゼントする相手は居ないから節約出来んだろ。」

恋人居なくて良かったな、なんて嫌味たっぷりの言葉が上から降り注ぐ

「なっ…」



なんですって

こいつはなんて嫌味な奴だ



だけど返す言葉が見つからないのでイライラしながらまた文字を打ち込む作業に戻る

打ち間違えが増えて更にイライラ…



ふと、バリケードは私の髪をかきわけ耳を露にさせる

「ピアスのデザインお前に似合わないな。」

何を言うかと思えば今度はダメだし



ハートをモチーフにした可愛いピアス

ピアスなんて似合うとか似合わないで買った事はない

アクセサリーだけは自分の系統を関係なく選べる物だと思っていたから



「あ、そ」

何だか傷ついた

私には可愛い物が似合わないってか

「樹脂製やすっぽく見えんぞ。金属アレルギーか?」

こいつ…傷つくことを平気で言ってきやがって!



確かに金属で出来たピアスは長くつけてると荒れるので樹脂のピアスを選んでいる

でも、決して安い値段ではない…



「そう金属アレルギーなの。だからバリケードも近寄らないで。」

耳にかけられた髪をピアスが見えないように再び戻した

でもここまで言われてはもうつける気にもならない

似合わなくて、それなりの値段でも安っぽく見えるならつけてる意味もない



子供のように卑屈になり耳のピアスを取る

パソコンの作業を止め引き出しにある消毒液をティッシュに染み込ませピアスと耳に消毒をする

面白そうにこの光景を見てるバリケードは無視



小物入れにさっきのピアスをポンと投げまた引き出しに戻す

別のピアスをつけようとも思ったが、また何か言われるのが嫌で何もつけなかった



「軍服でもオシャレできる数少ない所だろ?何もつけないのか?」

くつりと笑いながら言ってくるバリケードを睨み上げる

「ほっといて。」

「殺風景で女気ないぞ。」



自分からあんな事言い出しといて今度は女気ないとか…

言葉を返すとまた上手の一発を食らうので何も返さずに作業に戻った



「お前にはこれが似合う。」

なんなの、と向ける頭を片手でがっちり固定された

向けない…向けない上に何か耳を触っている



ほんの数秒でその手は離された



「ピアス?」

いじられた片耳を触るとピアスがついてある

どうせ変なピアスをつけて「これがお似合いだ」とか言って笑うんだろ

ディスクに置いてあった自分の鏡を手渡される



見ると、そこには小さく細やかな花びらをした薔薇の形があった

深い紅色と黒色のグラデーションをした2色のピアス

薔薇からは片ひらの銀の葉が出ている

ディセプティコンらしいというか、バリケードらしいというか

とにかく繊細で、こんなに小さな物のグラデーションは見たことがないほどに綺麗だった





「え…?」

てっきりへんてこなピアスをつけられてると思ったので拍子抜け

バリケードを見上げると相変わらずな憎たらしい笑みをしている



「ただの金属じゃねんだぞ。俺の体の一部から作り上げた。

だからアレルギーも起こさねぇし、一生サビない。特別な物だ。喜べ。」



え、つまり、



プレゼントってこと?



目をぱちぱちさせてるとバリケードはかがんで顎を掴む

そして嚙み付くようなキスをする



「っ、」



いきなりの事と、くちゅとわざと音をたてるので二重に驚き、恥ずかしくなる

だけど、こいつキス上手い

舌から舌に伝わる熱く柔らかい感触の動きに無意識に合わせる



「は…、」

やっと離れた唇

目が合うなり自分は何してるんだと我に帰る



「どうやらお前は俺のアレルギーはないようだな。下で待ってる。

さっさと着替えろよ。帰るぞ。」



ディスクから降りて満足そうに笑うと事務室を出て行った



あぁ 私はいつのまにかあの男に惚れてた

憎たらしいし、認めたくないけど私は違うみたい





Not 金属アレルギー





(事務室に人居なくて良かったね。居たら出来ない事だよ)

(俺があの事務内の人間に言っといたからな)

(え…?)





END



恋人も居ないのに次々と事務室をはけていく原因はコイツです

脅しという名の頼みは断れないよね

千恵美ちゃんがむくれてピアスを取るのも全て計算!



ちなみに

紅いバラの花言葉は「愛しています、情熱、熱烈な恋」

そして黒いバラは「貴方はあくまで私のモノ」



黒いバラの花言葉を書きたかった^p^

バリケードらしい夢小説になったかな。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ