■その他キャラ■

□【偽警官のある1日】
1ページ/1ページ


夜、千恵美はハイヒールの音をリズム良く響かせながら狭い路地を進んでいく

ぽつぽつある街灯をいくつか横切るとふと、自分のとは別の足音が後ろから聞こえる

振り返ると柄の悪そうな男3人

こちらを見てニヤニヤしている

危険を感じ走ると男達も走り出す


「きゃぁぁぁ!!」

誰かに気づいてもらおうと大声で叫ぶが人の気配がない小道で誰かが助けてくれるなどありえなかった

あっという間に距離は縮まり腕を掴まれる

「大人しくしてな!!」

「今日はアジアの女だ!!」

今日は、という事は普段からこの人達はこんな事をしていると悟った千恵美はいっそう激しく暴れて逃げようとする


「殺されてぇのか?」

ナイフを突きつけられ、更には銃を取り出した

「…っ」

恐怖でもう何も抵抗は出来ない

男はニヤニヤしながら千恵美の着ていた洋服を切り裂いた

男が銃をしまう

ふと、遠くで人が横切るのを見た

千恵美はとっさに男を突飛ばしその人の所へ全速力で走る


「助けて!!」

狭い路地から勢い良く飛び出し、その人の腕を掴んだ


「あ?」

心底迷惑そうな、ものすごい目付きで千恵美を見下ろしたのは警察官の制服を着たバリケード


「あの、助けてください!!男が追ってきて!!」

警官で安心した千恵美はひしっと腕を掴んで見上げる

「うるせぇな虫けら。」

バッと腕を振り払われたので千恵美はぽかんと口をあける

「は…?あなた警官でしょ!?」

ポリスと書かれた制服を着ているのだから警官に間違いない


「おい!よくも逃げやがって」

男達は銃とナイフを取り出した

先に警官を片付けようと男は弾をバリケードの腹部に放った

「死にてぇようだな。」

三発の弾が撃たれるとバリケードはギロリと男を睨む

「くそ!」

「脚を狙え!!」

その言葉で再び弾を脚へ放つ

だがびくともしない警官に今度は顔を狙おうと銃を上げた瞬間

バリケードは男の顔を掴むなりバキバキと骨をならしながら手の力を入れていった

「うわあああ!!」

悲鳴があがると地面に男を叩きつけ手から離す

「この野郎!!」

他の二人が飛びかかると素早く腹部に強烈なパンチを入れた

しゃがみこもうとする男二人の髪を掴み無理に立たせるとお互いの頭を思い切り打ち付けた


「え……」

警官とは思えないやり方に千恵美は固まる

バリケードはまた叩きつけるように手放す


「あ…ありがとうございます…」

とりあえず助けてくれたお礼を言うとバリケードはまた千恵美を睨む

「えと…脚大丈夫なんですか?」

腹部は防弾着があるから大丈夫なんだろうがアメリカの警官は脚にまで着けてるんだろうか

銃社会だから納得はいくが撃たれた時あまりにもびくともしないので気になった

「お前ぇに関係ねぇだろ。」

「は…」

あまりにも口が悪すぎる警官に千恵美は少しムッとする

「あの、もう少し違う言い方ありますよね?」

「あ?俺に指図すんのか虫けら。貧相な体しやがって。」

貧相と言われ自分の体を見ると裂かれた洋服の間から下着が見えていた

「なっ…!!」


慌て隠すがバリケードはフンと鼻をならす

「それセクハラ発言よ!!」

「見せてんのはお前ぇだろ。」

「この男達にやられたの!」

「人間の女は弱すぎるな。」

「当たり前じゃない!3人相手に勝てるわけないでしょ!」


警官はふんと笑うと背を向け歩き出す


もう…何なんだあの警官は

あんなタイプの警官も居るのかと思い千恵美も家へと足を動かした



「「おいバリケード。通信を無視すんな。」」

「「うるせぇな。虫けらを排除してたんだよ。」」


偽警官のある1日

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ