征す者、愛す者

□2. 近づきたいから
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元気よく、花咲くような笑顔を見せてくれたキミを、俺はすぐに気に入った。

初めて会った日は、すぐに別れてしまったけれど...

つぎの日に。
またあの笑顔が見たくて、つい父さんと母さんに “ 芙裕希ちゃんに会いたい ” だなんて、せがんでしまった。

−そんな俺の我がままに対して、父さんと母さんは嬉しそうにしていた。



どうやら、芙裕希ちゃんも
同じ事を言っていたようだ。



...嬉しいな。







あれから私と征十郎くんは、
お互いに気に入ったようで。


よくお互いにおねだりをして、
お互いの家に遊びに行っていた。

小学校が別々だったので、
多くは遊べていないけれど、
ちいさな思い出をたくさん重ねていった。


征十郎くんの大好きなバスケットボールで遊んでみたり、たくさんお話をして、お散歩して、たまにお馬さんに乗ったりして。


3年生くらいになった頃。
私は、ちょっとだけ勇気を出してみた。


もうちょっとだけ、あなたに近づきたかったから。




『ねぇ征十郎くん!』

「何かな、芙裕希ちゃん?」


−言うぞぉ、言っちゃうんだから!




『えっとね......』




少し照れている私を、征十郎くんは
まっすぐに見つめてくれている。





その眼差しは、どこか期待が含んでいるように感じた。



『−… “ 征くん ” って呼んでもいい?』
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