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□敗けない
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『クロコダイルさん…浮気ですか…?!』
「気色悪ィこと言うんじゃねェ」
『忠犬は私だけで!!私だけで充分じゃないですか!!なんで!!』

何でMr.1がいるんですか!!
インペルダウンから頂上決戦へ寄り道こそしていたものの、クロコダイルさんは無事に私の元へと戻ってきてくれた。ーーただし、余計な坊主を一人連れて。

『“海賊狩り”に敗けた奴ですよ!?そんなに役に立つとは思えません!!反対!断固反対!』
「………」
「まァそう言うな。コイツは使える」
『私の方が断然使えますよ!!』
「使える奴は使う。それが何人でもな」

ぐぬぬ。なにも言い返せなくなった私の頭をクロコダイルさんはポン、と軽く撫でた。ーーずるい。ゴツゴツした懐かしい感触に思わず頬が緩む。
そんなことされたらもう責めることなんて出来ない。許すしかないじゃないか。いや、クロコダイルさんが何しようとも許さないなんてこと絶対にないんだけど。

「風呂を貸せ」
『えっ!お背中流しましょうか!?』
「わかっているだろうが、絶対に誰も入れるな。そして入ってくるな」
「はい、ボス」
『うぐ…っ、りょ、了解です』

私の申し出も虚しく無視され、そう言い残してクロコダイルさんはお風呂場に消える。
今の私に言ったんだよね?私に命令したんだよね?何しゃしゃってんの?この坊主は?
うん。やっぱり、クロコダイルさんは何しても許されるけど、Mr.1、テメーはダメだ!
ギッ!と少し離れた場所にいるMr.1を睨みつけるが、Mr.1は変わらず無表情で宙を見ていた。
こいつのせいでクロコダイルさんとの感動の再会が台無しだったんだよ!!
再会を喜んでクロコダイルさんに抱きつきに行ったら例の如く砂になられてすり抜けた先にこの野郎がいた時の私の気持ち!!
しかも、同時にクロコダイルさんとの二人っきりで始まるワクワクドキドキの航海ライフが始まる前から幕をじたんだよ!!絶対に許さない…!

『Mr.1…、あんた今の内に出て行きなさいよ』
「ボスから風呂場に誰も入れるなと命令が下っている」
『私が見張っとくからあんたはいらない。ついでにこれからの航海にもいらない』
「お前が侵入する可能性もある」
『ハ、ハァア?私だって入りたいけど!いや間違えた!私だってクロコダイルさんから命令されたんだから、それくらいは守れますー!』
「本音が漏れてるぞ」
『煩い!バーカバーカ!クロコダイルさんが海に落ちても助けに行けるのは私だもんね!貴方が海に落ちても助けてあげないもんね!』
「ボスもおれもそんなヘマはしない」
『知ってますー!!そもそも私がそんなことさせませんー!っていうかそろそろ目を見ろ!!』
「声がでかい」

この野郎、私を舐めてるな…!?
表情くらい変えやがれ!筋肉固まってんのか!

『いいでしょう!ならば、どっちがよりクロコダイルさんの役に立てるか勝負でもしますか…』

そこで漸くピクリとMr.1の表情が動く。勝負という単語に反応したか。

『“海賊狩り”なんかに敗けたあんたに私が敗ける訳ないし。覇気も使えない雑魚が調子に乗らないでよね』
「いいだろう…相手をしてやる」

バチバチバチッ!と音が鳴りそうなくらい火花が散る。
親分直伝の魚人空手、存分に味わうがいいわ!!




犬猿の仲
(テメェ等、飼い主がいなきゃ大人しくも出来ねェのか)(ヒギャー!!!風呂上がりのクロコダイルさん、色気が止まるところを知らない!!人間凶器!!海賊女帝も全身刃物野郎も目じゃないわ!!)(………)


 

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