学園内の忍ぶ恋模様
□白薔薇
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いつのまにか、こんなにも、僕は貴方に恋をしている。
「彦四郎、尾浜先輩がおよびだぞ」
「……!わかった、ありがとう……!」
でも貴方は知らないまま、こんな僕に優しくしてくれている。
「おはよー、彦四郎!委員会のやつ、出来てる?」
「おはようございます!いえ、まだ……」
「やっぱり?だと思って、手伝いに来ちゃった!」
「え?!ありがとうございます……!」
「丁度課題が終わったからさ〜!」
優しく、かっこいい、貴方のその笑顔が大好きです。
大きくて、温かい、貴方のその手が大好きです。
風になびく貴方のその柔らかい髪も、よく通る貴方のその低い声も、大好きで仕方がないんです。
「……尾浜せんぱい、」
絞り出した声に、尾浜先輩はいつもの笑顔でいつものように頭を撫でる。
「大丈夫だって!彦四郎は出来る一年だからさ、俺と確かめながらすれば間違いなし!」
「……は、い……。……すみません、先輩」
「なーに謝ってんの。謝るなって!」
……いつのまにか、こんなにも、僕は貴方に恋をしている。
貴方には迷惑でしかないのに、僕にはこの想いの消し方が分からない。……分からないんです。
「……ごめんな、彦四郎」
白薔薇*恋をするには若すぎる