学園内の忍ぶ恋模様
□アザレア
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ぼくは昔から泣き虫だった。
そんなぼくを鍛えようと、父上が一芝居打つほどだ。
(でも、もう泣いたりしない。ぼくは立派な剣豪になって、)
「金吾、ただいまぁ」
「おかえり、喜三太」
(君のことを守るんだ)
「はにゃ〜疲れちゃったぁ〜!」
あらかじめ敷いておいた布団に、喜三太は案の定倒れこんだ。
ぼくもおなじように、横に敷いた布団に横になって、顔を合わせる。
「お疲れ〜今日は何をして来たの?」
「うんとね、会計委員会が壊しちゃったボートの修理!」
疲れながらも楽しそうに話す喜三太に、ぼくもニコニコと相づちをうつ。
幾分か経ったころ、喜三太はうつらうつらしてきた。
ぼくはそんな喜三太のほっぺに手を伸ばして、ゆっくり撫でる。
喜三太のほっぺはいつもふにふにして、あったかくて、かわいい。
喜三太はくすぐったい、と笑って、ぼくの手を握る。
そして、金吾もお疲れ様と笑った。
「……うん。ー喜三太、大好きだよ」
「ぼくも、金吾がうんと好き」
「明日も明後日も、喜三太が一番大好きだよ」
「はにゃ〜……ぼく、幸福者だ〜……!」
アザレア*あなたに愛されて幸せ