学園内の忍ぶ恋模様
□薺
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(シリアス風味)
真面目で正しい彼方が好き。
「…ありがとう、伊助」
でも、真面目で正しい彼方はいつも、僕を遠ざける。
「ーご迷惑をお掛けして、ごめんなさい…久々知先輩」
「伊助は悪くないよ。…ごめん」
彼方が口ごもる理由は、痛感してる。
「…謝らないでください」
彼方が生きていくのは忍びの世界だから。
僕が生きていくのは人々に囲われた店だから。
でも、それでも、僕は夜、この世界に戻るから。
「久々知先輩、僕、先輩が好きです。どんな未来でも、好きなんです」
真面目で正しい、彼方が好き。
真面目で正しい彼方は、僕の幸せを願って、僕を遠ざけてしまうけれど。
「僕は、先輩がいないと幸せにはなれません」
久々知先輩ごめんなさい、いつもそんな悲しい顔をさせてしまってごめんなさい。
「…俺は、平和な未来だなんて約束できない」
「はい」
「お前と共に、生き永らえることすら…約束できないんだ」
「…僕は今までここでずっと、学んできたんですよ。久々知先輩」
「っ…伊助、」
薺*あなたに私のすべてを捧げます