学園内の忍ぶ恋模様

□茜
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ああ、今日も汚れてしまった。





「いけいけどんどーん!!!」

「ああっお待ちください七松先輩ぃ〜!!!」





こんなに汚れても、彼方の背中には追い付けないのに。





(七松先輩。七松先輩。私を、)





「おっそうだ!滝夜叉丸!手を出せ!!!」

「は、はいぃ〜…?」

「ほら!」

「へ…?」





ぽん、と渡されたそれを、まじまじ見てしまったのは仕方がない。

何故なら、渡されたのがしなびれた花だったからだ。





「な、七松先輩?これはなんの暗号でしょうか?」

「暗号ではない!茜という最近好きになった花だ!」

「はあ…?毒でもあるのですか?どんな意味が…」

「お前にピッタリでな!さあランニングの続きだ!いっけどーん!!!」

「なっ七松先輩〜!!!」





(…結局、あの後も意味を教えていただけなくて。こうして、図書室へ来ているわけだが…)





(わ、わからない!いったいどういうことなのだ…!!?)





「…滝夜叉丸」

「ひっ…!ななな中在家先輩!?すっすみません口に出ていましたか!?」

「いや…その花は、小平太だろう…」

「ふぇ…?」





中在家先輩の指先をたどれば、机に置いてあるしなびれた茜。





「…それは、きり丸のバイトを手伝ったときに…花言葉を聞いた途端、小平太が抜いてしまったものだ…」

「は、花言葉…?」





(そ、そうか。花言葉か…!)





「あっありがとうございます!」

「…いや…」





(茜の花言葉は…)





慌てて本を探し、茜を探し当てて、ピタリと手を止める。





(これは、前者だろうか。軽蔑されているんだろうか。ならば、あの人のことだ。態度でわかるだろう)





ならば。ならば。





「〜〜〜」

「うわっ滝夜叉丸!?どうしたんだい!?」

「あっい、いえっ…何でもないんですっ不破先輩…っ!」





茜*媚び、私を思って

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