屈折した、(愛の形)
□咲
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咲(竹初)
「お!いたいたぁ!よっ孫次郎!」
「…竹谷先輩ぃ〜?」
日陰ごっこをしていた孫次郎は、今日もやはり顔色が悪い。
「どうされました〜…?委員会ですか?」
けど、俺が寄ると頬が赤くなるから、たまらなく可愛い。
「や、今日は裏山へ行こうと思ってな。ほら、この前手当したたぬきいたろ?そいつ見に」
「ほんとですかぁ?ぼ、ぼく」
「ああ!孫次郎も行きたいだろうから誘いに来たんだ!行こうぜ!」
そう告げれば、ぱぁ、と花が咲いたみてぇに笑う。んで、日陰から出てきて俺の隣にくる。
「ふふ、やったぁ…!可愛いですよね、あのたぬき〜」
可愛いのはお前だって…!
そう告げれる訳がなく、わしゃわしゃ小さい頭を撫でた。
「わっ…なんですぅ?」
「…あと3年くらいしたら、伝えるからな」
自己を形成しおえて。そしたら、お前にこの恋心を打ち明けるから。
にかっと笑うと、孫次郎はやはり可愛く笑った。