屈折した、(愛の形)
□は
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は(伊乱)
その日もまた、僕は怪我をした。
「伊作先輩安静にしてて下さいっ」
「あはは…!ごめんね乱太郎」
治療をしてくれたのは、当番だった乱太郎だった。
小さい体を一生懸命動かして治療する乱太郎に、申し訳なくて自分で手当しようとすれば途端飛んでくる声。
それが僕に背を向けたままでなんだから、ほんと乱太郎の成長には驚かされる。
「全く、もう…!…伊作先輩は確かに私達保健委員会の委員長ですよ?だけれど、今は患者さんなんですからね!?」
ぷんぷん怒る乱太郎に、思わず笑みが溢れた。
ふわふわとした髪。
小さくて優しい目。
繊細で柔らかい指。
最初は頼りなく見えた忍者にそぐわないそれらが、いつからか頼もしくなっていた。
(寂しくない。…だなんて嘘になるけどさ。君の成長は嬉しいよ)
「乱太郎は良い医者になるね」
「え!?も〜伊作先輩ぃ!そう褒めないで下さいよ〜!」
早く、早く、僕に追い付いてね。君と歩める未来が楽しみなんだ。