屈折した、(愛の形)
□ま
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俺の後輩、彦四郎は損してると思う。
「尾浜先輩、すみません。明日の委員会の準備なんですが…」
「うん、一年生の用事で出来なくなったんだろ?大丈夫、かわりにやっとくよ」
「ありがとうございます!」
「…ねぇ、一年生の用事って彦四郎もだろ?彦四郎は準備終わってんの?」
「ああ…終わってるみたいですよ」
(嘘ばっか)
ここんとこ彦四郎は一年生の用事とやらの準備しかしてない。委員会の準備なんかしてる余裕ないだろ。
彦四郎は、絶対俺らを頼らない。庄左エ門でさえ頼るのに、彦四郎はどうやら迷惑をかけると思っているようだ。
(迷惑なんかじゃないさ。物事は結果が全て。忍者になるなら尚更結果が重要で、結果を出すために効率良く人を使えてこそ生き抜けるんだ)
そうやってこの前厚着先生に怒られてたくせに。
「…尾浜先輩、もう明日の委員会のおやつのことでも考えてるんですか?」
「へ、なんで?」
「先輩、幸せそうだから」
庄左エ門に笑い返し、ほら早く行きなとせかす。庄左エ門が失礼します、とかけていく。
(幸せそう、ね。まぁ、否定はしないかな)
効率良く人を使う意中の子より、要領悪くて誰にも頼れない意中の子をほぐすほうがはるかに簡単に出来るんだから。
「さぁて、俺は彦四郎を手伝いにいくかなぁ」